日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

大手家電メーカーでの新規事業の立ち上げ方(スケール編)&完結編

皆様、ご無沙汰しております。

まるで長編ファンタジー小説を読んでいたら、いきなり最終章に突入したかのようですが——ようやくやってまいりました、新規事業立ち上げシリーズの完結編でございます。

なぜ完結編かと申しますと、昨年、私、会社を退職してしまったからなんですね。まるで連載漫画の主人公が急に「俺、実はここで旅に出るよ」と宣言して、強制的に最終回を迎えるようなものです。10年間お世話になった家電メーカーを離れ、現在は地元に戻り、父の会社で働いております。

しかし、ただのドロップアウトかと言えばそうでもなく、自分のやりたかった新規事業をひとまず完走し、そこそこ手応えを得られたこと、そして家業が火急の事態であったことが重なり、やむなく離脱を決意した次第です。苦渋の決断、と言いつつも、終わってみれば「人生で最も濃い期間だったのでは……?」と思うほどに刺激的な日々でした。

特に、ハードウェアを伴う新規事業で死闘を繰り広げている皆様に、そっとエールを送りたく、ここに血と汗と涙と、時々おかしなテンションの物語を遺したいと思います。

ハードウェアビジネスの現実

10年ほど前、ハードウェア系のスタートアップがキラッキラの未来を謳っていた時代がありました。ちょうど「スクエアすごい!」「IoT革命きたぁぁあ!」みたいな声があちこちからあがり、メディアも大興奮。スタートアップはみな夢と希望を抱いて突撃し、いつか世界を変えるのだと鼻息荒かったわけです。

ところが、現時点ではどうでしょう。まるで祭りのあとの寂れた出店のように、ハードウェア企業の大半が息も絶え絶え。BtoBのSaaSと組み合わせてようやく辛うじて生き残っている例はまだマシで、他はほとんど撤退。つまり

利益が、ぜんっぜん出にくい。

もはやAmazon Echoが話題だったなんて、歴史の教科書に書いてあるくらいの昔話になりつつあります。10年前、「我らが時代が来たぞぉぉ!」と叫んでいた私たちは、どこへ行ってしまったのでしょうか。

それでも、やっぱりハードウェアにはロマンがあるんですよ。無機質な金属やプラスチックの塊が、人の手によって息を吹き込まれ、世の中をちょっとずつ動かす。何を隠そう私はそんな儚い夢にとことん惹かれ、そして散っていった数多のスタートアップを見てきましたし、僕自身もそんな人間の一人でした。やっぱりアップルが好きだし、ソニーが好きだし、いまだにウォークマンとかアップルの話を聞くと胸が熱くなるのよ。最近のAIの話はすごいけど、どうも面白くないよね。なんかよその国の戦争みたいに感じてしまいます。

だからこそ、最後にこの「スケール編」を残しておこうと思ったわけです。

1→10、10→100の壁

偉そうに「スケール編」と銘打っていますが、実のところ私は途中退場しており、事業が真の意味で花開いたとは断言できません。いわば3合目で下山した登山家みたいなもの。でも、その短期間ですら、0→1から1→10、そして10→100へと伸びようとするあの昂揚感と苦悶の入り混じったフェーズを経験できたのは大きな財産でした。

中でも痛感したのは「100人の顧客を見つけることは、想像以上にしんどい」という現実です。ユーザーが増えるごとにサービスにほころびが見つかり、ピボットを重ね、大型決裁を仰ぎ、あっちを立てればこっちが沈む、といったさながらもぐら叩きと綱渡りを同時進行しているかのような状態が続きます。しかし、そういうカオスこそが新規事業の醍醐味、という変態的な快感もあるから不思議です。

① 顧客開拓とサービス改善

新規事業が育つとき、まず避けて通れないのが「お客様の要望×自分たちのサービス内容との衝突」です。よくあるアジャイル開発の美談を信じて「ローンチ後にちまちま直せばええやん」と考えると、ハードウェアでは地獄を見ます。

なぜなら、ハードウェアの作り直しには莫大なコストと時間が必要だから。もう桁が一つ違う。「1億円以上」なんて聞いて、血の気が引く人も多いでしょうが、悲しいかなこれが現実世界いうやつです。

 

だから、初期設計はまさに命懸け。ここでミスると「やっぱり一からやり直しでーす」などと言えず、ちょっと変えるだけでも天文学的な金が吹っ飛ぶ。

つまり、事前に作り込みすぎて後でしっぺ返しを食らうか、ある程度の自由度を残しておいても後で地獄を見るか、どのみち苦しい選択ではあります。

だから、初期のHWの致命傷になる部分は非常に慎重に決めました。それこそお客様に実際のぶつけてみて、これでいける、と自分自身が確信を持てるところまで顧客にぶつけました。特にHWでのサイズ感はとっても重要。僕らの場合はここミスると取り返しがつかなかったので、ここはめちゃ慎重に行ったよ。

一方で、ソフトウェアやサービス部分は変更しやすいので、ここで稼ぐしかない。アジャイルの力を借りて突貫工事をするわけです。私たちも月1回ペースで微修正を加え、お客様が離れないように必死でしがみつきました。まるで、穴の空いたバケツから水が漏れないように指で押さえるようなイメージです。

幸い、最初のユーザーたちは私たちの熱い想いを応援してくれた“最初のファン”。この人たちが満足しない限り、100人どころか10人すら確保できない。たとえるなら、新しくラーメン店を開いたときに、一番最初に来てくれた常連客をそもそも虜にできなければ、口コミも広がらないし店は潰れる——そんな話ですね。

ここで大事なのが資金計画。粗忽者が陥りがちなのが「最初に全部予算を投下して、終わったらもう残りはスッカラカン」という悲劇。私は嫌というほどその悲劇を目撃してきました。だからこそ、最初に予算の8割を開発費に、2割をメンテナンス・改善費に振り分ける計画を事前に承認させていたんです。毎度毎度「もうちょっとお金ください!えへへ」なんてやってたら、経営陣に「お前、何度目だ?」と三下り半を突きつけられるのがオチです。

② 新規事業の信頼構築

大企業の新規事業は、氷の上を歩くペンギンみたいなもので、風が吹いたら一瞬で吹き飛ぶ脆さがあります。そこで大切なのが、経営層のガチ応援団を作っておくこと。

1人でも味方がいれば大丈夫。大企業の人間って、上がYesと言ったらYes、上がNoと言ったらNo、という風に動くことが多いですからね。ここを押さえておかないと、せっかくの新規事業が「ふーん、どこが面白いの?」と白い目で見られ、あっという間に干されます。そうなったらもう二度と日の目は見ない。恐ろしや、恐ろしや。

とはいえ、経営層や部長クラスの目線を釘付けにするには、それなりの“見せ方”が必要。私たちはローンチ時は大きな記者発表会を企画し、「あいつら、なんかスゴそう」と思わせる空気作りに全力を注ぎました。まるで学園祭の実行委員みたいなノリで、ブースの配置からプレゼンの段取り、デモの内容まで小技を効かせまくり。おかげで若手メンバーも「おっ、あそこのチームに参加すると面白そう!」と興味を示すようになり、一気に仲間が増えました。やはり見栄えは大事。

③ チーム作り

私が言うまでもなく、新規事業は人がすべて。とくに、実際に成功体験を積んだメンターの存在はありがたいものです。失敗した経験も豊富なので、こちらがロマンを語りすぎると「いやいや、そこは夢見る前に地雷踏むでしょ?」と冷水を浴びせてくれる。このバランス感覚が新規事業には必須。

彼がよく言っていたのは「ナチュラルに考えろ」。要は自分たちのサービスが本当に顧客の役に立っているのか、変なバイアスや思い込みで見えなくなっていないかを常にチェックする、ということですね。ハードウェアの沼にはまってしまうと、気づけばすべてハードウェアを主語で語ってしまいがちです。

でも本当はお客様が主語で、お客様が毎日生きる目的があります。

その目的の中で、自分たちがどう貢献できるかを素直に考えることを常々アドバイスもらっていましたし、それがシンプルなマーケティングなんだと思っています。

 

④スケールするための勝ちパターン

そもそも、0→1を達成しただけでは安心できません。次は1→10、10→100とスケールしていく過程で、いかに事業の“勝ちパターン”を確立するかがカギになります。

例えば、100人の顧客にウケた仕組みが1,000人や1万人にも通用するのか?サービスの初期状態では手厚いサポートを付けていたけど、それを外しても回るのか?実は超ニッチな市場しか狙えないんじゃないのか?……そういう疑問をクリアにしないと、将来的には立ち行かなくなる可能性も。

私たちも、

  1. コアバリューの明確化
  2. オペレーションの自動化・効率化
  3. マーケットの拡張性の検証
  4. 収益モデルの最適化

などを、血眼になって検証し続けました。スケールできるビジネスというのは、言わば「時間が経つほど強くなる仕組み」があるもの。ネットワーク効果だったりブランド力だったり、コスト構造の優位性だったり、いろいろありますが、どれか一つでも当たると急激に成長するんですよね。

ただし、大企業は大企業で、まるで“神経質なビビり上司”のように「効率化!自動化!ルール化!統一化!」と念仏を唱えてくるので、そのあたりをうまくいなすのも腕の見せどころ。私たちは逆手に取り、あえて“俗人化”を徹底しました。というのも、人数が少ない初期段階でシステム化すると、逆に身動きが取れなくなるんですよ。むしろ少人数だからこそ

「あれ?この仕様ちょっとおかしいかも」「いいからもう変更しちゃえ」

くらいのフットワークでガンガン突き進んだほうがスピード感が出る。ただし、それを理解してくれる上司やメンターがいないと、ひたすら「計画は?根拠は?テストデータは?」の連呼を食らって窒息します。

さざんが3の法則

ちなみに私が営業のときに活用したのは「さざんが3の法則」という、3部門(経営者、支配人、担当者)に対して3回の提案を行い、3回の違う魅力を打ち出すというBtoB向け秘技。まるで同じ映画を3つの視点から見せるようなものです。経営層には長期的な投資価値を語り、支配人には業務改善の効率性を、担当者には具体的な負担軽減を訴求する——すると、なぜか不思議と全員が納得するんです。そして大きなハンコが押される。

私たちの商品はこれでぐいぐいと営業成績を伸ばし、いつのまにか「ウチも導入してみたい」「あれ?これいいかも」と口コミが広がり、チェーンリアクションのように契約件数が増えていきました。このときの快感は、中毒性があると言っていいでしょう。楽しくてしょうがない。

⑤ ピンチと大型投資の決裁

もちろんピンチもありました。というかピンチがない新規事業なんて、キノコの入っていないキノコ鍋みたいなもので、むしろ危機感なさすぎて怖いですよね。私が直面したのは、「どうしてもこの新しい機能が必要。しかし投資が足りない。ああどうしよう」という局面。

それも既存の現場オペレーションが面倒なことになっており、それを遠隔からサポートできるようにしないと“未来などない!”と悟ったのです。そこで追加の予算を取るために動いたのですが、私は会社を辞めるタイミングが迫っていたため、どんなに体がボロボロでもやり切るしかありませんでした。

そして、見事に一回目の決裁会議では叩き落されました。まさに「ぐはっ」って感じですよ。でもそこで諦めてはいけない。二度目の稟議はさらに厳しくなるし、宿題も積み上がるし、上層部のスケジュール調整も地獄。しかし、ここで折れたら全部が終わる!と思い、必死で食らいついたわけです。

最終的には、無茶苦茶なスケジュールを組んで強引に会議を再設定し、迫る締め切りに合わせてメンバーを総動員。他メンバーが「そこまでやります?」と眉をひそめても、私は一切聞く耳を持たず、「通らないなら切腹覚悟!」と吠えていて無事承認にこぎつけました。

 

新規事業をやると、こんなふうに自己リスクを背負わないといけない場面が必ずあります。そこを怖がって引き下がるか、あるいは踏み出すか——たぶんこの選択が、仕事ができるかどうか、成長できるかどうかの分かれ道になるんでしょうね。自分が叱られないこと、安定を最優先していたら、こういう勝負はまずしませんから。

こうして私は最後の大仕事を成し遂げ、無事に会社を去りました。誰も知らない裏話ですが、きっと今だからこそ語れるかな、と思って話してます。まあ、「終わりよければすべてよし」とは言いませんが、私としては満足のいく結末でした。

僕が新規事業をやって本当に良かったと感じること

  • 毎日が心から楽しかった
    やっぱり、自分の大好きなことを、魂が通じ合う仲間たちと一緒に形にするって最高ですよ。何年もかけて四苦八苦したものが商品として世に出て、それがお客様の笑顔に繋がった瞬間は、メーカー冥利に尽きます。ラーメン屋で「この味、最高っスね!」って言われたときの店主の気分……それを何倍にも拡張した感じでしょうか。

  • チームの重要性を肌で実感
    メンターや初期メンバー、情熱を持った人々が集合すると、そのパワーはまるで大花火大会。どんどん周囲に伝播して、「あのチーム楽しそう!」「一緒にやりたい!」と仲間が仲間を呼んでくれます。このポジティブスパイラルに入ると快感というほかありません。

  • チャンスが舞い込み、人とのつながりが広がる
    社内外の面白い人材と次々に出会えるのは、新規事業の醍醐味。ついにはパリオリンピックの選手村にまで製品が置かれたと聞いたときは、「どんだけ運が運を呼ぶんだ……」と笑ってしまいました。勢いがつくと、想像もつかない場所にたどり着けるという事実を目の当たりにすると、世の中って本当に捨てたもんじゃないなと思えます。

  • 絶望の先にある希望と粘りの大切さ
    予算が下りない、営業で断られる、技術的なハードルが高すぎる——いろいろな絶望が押し寄せます。それでも粘り続けると、ある瞬間ふっと世界が開けることがある。やめようと思う3秒前が一番の踏ん張りどき、みたいな。だいたいアニメとかでも主人公が最大のピンチを超えた瞬間に、超覚醒しますよね。あの感じです。

  • 大企業の人間心理の理解とコントロール
    大型の社内決裁をゼロから通すには、想像以上の調整が必要。普通は上の方から「こんな感じの新規事業、頼むね〜」って降ってくるパターンが多いのに、私たちは手作りアイデアで地道に説得。総額5億円を超える投資を引き出したときには、「ここまで会社を振り回して大丈夫か俺?」とちょっと罪悪感を覚えるほど。でも、大企業はプラットフォームとしてはやはり強力。うまく使えばこんな楽しい遊び場はない、と実感しました。

まとめ

こうして振り返ってみると、新規事業というのは荒ぶるジェットコースターみたいなもので、終わったあとに「もう一回乗りたいような、でも二度と乗りたくないような」不思議な気持ちになります。

それでも得られた学びは計り知れません。ハードウェアビジネスの険しさ、緻密な資金計画の必要性、組織内政治の乗りこなし方、そして“俗人化”を恐れないフレキシブルな初期運用……。どれもスムーズにはいかず、壁にぶつかるたびに心が折れそうになりましたが、そのたびに一回り大きくなれた気がします。

特に強く感じるのは、新規事業は結局のところ「自分ごと化」が勝負だということ。大勢の人が効率化や分業を唱えますが、最初のフェーズではむしろ泥臭く全員が全体を理解し合うことこそが大切。後から仕組み化はいくらでもできますからね。最初に血の通ったチームを作らないと、ただの“役割分担”だけで生まれるイノベーションは薄味です。

そして、最後にもう一つ。自己リスクを取れるかどうかが、事業を本当に伸ばせる人材を決定づけると、私は思っています。安定を好んで無難にやり過ごすだけでは、世の中に新しい価値は生まれません。崖っぷちで「ここで踏み込むかどうか」を迫られたとき、思い切って渡る勇気こそがイノベーションの燃料になる——それをこの身で体感できたのは、本当に貴重でした。

もしこれを読んでいる方が、ハードウェア系の新規事業や似たような修羅場に挑んでいるなら、あなたの物語もきっと私と同じか、それ以上にドラマチックなはずです。挫折しそうになったとき、ぜひ「もうちょっと粘れば何かが変わるかもしれない……」と信じてみてください。案外、その粘りの先に新しい景色が広がっているものです。

というわけで、私の新規事業物語はここで終幕。長々とお付き合いいただき、ありがとうございます。これを読んで「面白かった」「参考になった」と思ってもらえたら、とても嬉しいです。そして、あなたの挑戦にも、ちょっぴりのスパイスと勇気を。

……さて、私はこれから父の会社で、また別のドラマを紡いでいくことになりそうです。何が起こるか分からない人生だからこそ、毎日が面白い。今日も元気に、なにか新しいものを生み出していきましょう!

大手家電メーカーでの新規事業の起こし方 【事業立上げ編】

絶賛、大手家電メーカーの新規事業シリーズ、今回は事業立上げ編です。

過去は以下の記事を書いてきました。何と過去の記事から4年ほど経ってた。。

が、いまだに新事業(同じやつ)をやってます。

 

taitaitai.hatenadiary.jp

 

ちなみにザキオの現時点のステータスですが、

・大手家電メーカーでBtob新事業の立上げ&絶賛発売中

・立場としては事業立上げの起案者であり、マーケティング全般を見ている

・投資総額は2億以上、IoTプロダクトでプラットフォームを伴うサービスもあり。

 発売は'23年3月。

 

 

見て欲しい人は、

・ハードウエアを伴う新事業の立上げ推進者

・大型投資が得られていない、社内説得もできていない

・事業のシミュレーションが描けていない

です。

 

 

まず、事業立上げフェーズで大切なことは、大谷翔平のようなスーパスターを揺することではなく、あらゆる不足を補える主体性を持ったチーム作りが一番大切だと感じています。

開発をしっかり回しながら、お客様のマーケティング活動も同時並行でやって行くという、荒技。。

そのためには

開発を抑えるキーマン1名、そしてマーケティング全般をみるキーマン1名、少なくとも2名の情熱を持ったヤローどもが必要だと思います。(流石に一人で開発とマーケ全部を見るのはきつい。。。)そういう前提のもと、私が立ち上げの時に感じたことを一つづつ、話していきたいと思います。

 

 

まず、

①HWの新事業で製造原価ほど怖いものはない

HWの新事業で起こる問題 No.1は製造原価の上振れです。

平気で当初の製造原価の2〜3倍になることが起こります。

これはもうしょうがない。工場選定タイミングなどでは、どうしても開発仕様も詰めきれていないし、工場側も受注を取りたいから頑張って安めの原価の見積もりを出してきます。

この見積もりを前提に事業のシミュレーションを行うと確実に失敗します。

なので、マーケティングサイドは必ず、原価が上振れをする前提で、

事業の成立要件を考えておいてください。

 

かくいう私の場合も、4年前一度商品化をしましたが、あまりに原価が高くなることが判明して、構造を0ベースで再開発することにしました。

結果何年もの月日を要してしまうわけですが、これがスタートアップだったら一撃アウトで潰れてましたね。大企業の資本力があるからこそ何とかやれてましたが。。

 

②顧客採用意向価格は経営者と話をしろ

こうなると今度はこの商品の採用意向価格は正確に把握する必要があります。

しかし、これがまた難しい。

なぜかというと聞く人によって採用意向価格は千差万別。

まるで、駆け出しのお笑い芸人の評価みたいに、高い人はすげえ高いし、全く興味ない人はボロカスに言います。

これはこれでしょうがない。何をすべきかというと、

とにかく数を稼いで(少なくとも30社)、なぜ採用意向価格が違うかの傾向を出して行くのが早いです。

人が意思決定をするときは確実にその裏には何らかの比較があります。

そして比較をする商材は、その利用する文脈に起因します。

 

例えば私の場合の商材でいうと、採用意向価格の違いは、以下の傾向がありました。

・高い  :コミュニケーション媒体として活用を期待

・中くらい:空間演出商材として活用を期待

・低い  :情報表示端末として活用を期待

 

富士山で売られている水のように、ある人の文脈ではとっても高く評価してくれる市場がありますし、逆にそれがない商品はやめた方が良いかと思います。

ある程度傾向がわかってくると、最も高く評価してくれる市場に絞ってマーケティング

策を取って行くのが良いでしょう。

 

また、この採用意向価格を判断する際に、

しっかり現物を見せて、利用シーンを想起させ、価格の話をしてください。

この工程を行なっていないと、採用価格は低めに出る傾向があります。

また、価格の伝え方ですが、

「いくらだったら買いたいですか?」戦法よりは、

「これくらいの価格で考えていますが、如何ですか?」の方を

私はオススメしています。

結局前者でアプローチをすると、戦法に主導権を握られるので、

結局商談になった際に不利になります。

あと、だいたい自分の期待する価格になるケースは低いです。

 

 

 

そしてできれば会話をするのは意思決定社である経営者がオススメです。

経営者ははっきり金額を伝えますし、決まれば早いので、すぐに採用してくれます。

 

経営者とつながりがない!

という方はとにかくつながりを増やしてください。(どうやって?)

世の中には経営者が所属する団体やコミュニティがたくさんあります。

自分の力でそのコミュニティに潜り込んだり、そういった方達が集まる展示会に出展するなどで、頑張って関係を作ってください。死ぬ気であれば何らかの方策が必ず出てきます。

私の場合は、宿泊施設をターゲットに設定しているので、

経営者が集まるコミュニテイを調べ上げて、その人たちが集まる展示会に積極的に参加していました。

 

③勝ち筋は存在する

勝ち筋は存在することは私も最近やっと肌感覚でわかってきました。

このパターンでいくと、お客様は確実に高い評価をしてくれる、というパターンです。

ここに到達するまでに100社以上のお客様と商談を重ねてきました。

そして、勝ち筋は「お客様が教えてくれる」ということでした。

当初自分たちがメインの使い方では想定していませんでした。

 

また、新規事業を立ち上げたことがない人の意見は基本無視してください。

彼らは既存の考え方でビジネスの可否を伝えてきますが、根拠がないケースが多いです。

ファクトをベースに会話をして行った方が良いです。

 

また、勝ち筋を作るためには複数のお客様にヒアリングをして行くケースがありますが、

N=1で、これは面白い!と行ってくださる方がいた場合は、

その顧客属性と似ているお客様に同様にヒアリングをして行くと、傾向が見えてきます。(少なくとも5社)

イメージは、10箇所穴を掘れるとしたら、まずは3箇所ほって見て、

反応が良かったところの周辺を追加で7箇所掘るイメージです。

 

 

④無理をして掴みにいくべきタイミングがある。

新事業を行なっていくと、ほぼ毎週無理をしてでも掴みに行く必要が出る仕事が出てきます。例えばクソ忙しいのに、新しい販売プロモーションを仕掛けようとして、

社内の法務に邪魔をされたり。

通常のステップでは納期が間に合わないので、今まで全く頼んだことがない業者に依頼して、

納期を間に合わせたり。

ここでは思いっきし無理をして取りに行って欲しいと思います。

結局、難しかったりあまり人やっていないことほどハードルが上がるのですが、

そのさきに行けばいくほと宝があるケースが多いと思います。

 

私の場合も、当初は社内の商流に頼って顧客開拓を進めようと思っていました。

しかし、全くターゲット企業との親和性がなく、新しい販促手法を取る必要があり、

DM &テレアポ施策を行うことにしました。

これが顧客情報を得る云々で結構めんどくさく、大変だったのですが、

これで上客を結構つかめることができ、宝を掘り当てることができました。

 

⑤愚痴ではなく、なんて自分は幸せなんだというマインドセット

普通の仕事に比べて、新規事業はわりにあいません。

大変だし、社内からは疎まれるし、評価は上がりにくいし。

でも、そんな中で唯一他のみんなと違うこと、圧倒的に誇れることは、

「自分が心からしたいことをやれていること」です。

これほど人間として、素晴らしいことはあるでしょうか?

新規事業は自分が心から実現したいこと以外はやるべきではないし、

出ないと、成功しないと思います。

気持ち高らかに、なんて自分は幸せなんだろう、今日もみんなありがとう。

と私は毎日心から感じています。

 

 

 

 

以上、またいつか体系的にまとめていきたいと思いますが、今日はこれくらいにしておきます。

HWの新事業を立ち上げる方は頑張ってください。

くれぐれもその辺の他社商品を買い入れて、それをシステム的に組み合わせて、新事業、とは言わないで。

自分たちが全く新しいHWを開発してください。

HWが変わることで、初めてSWが変わります。

 

 

 

伝え方よりも1000倍大事なこと

それは、「相手に伝えたいと本当に思えるまで考えているか?」だと最近感じている。

 

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とあるプロジェクトリーダーを任された

Aさん。まだ20代中盤で、

リーダー抜擢は結構早く、これからプロジェクトを成功させて、

もっと昇進していきたいと感じている。

 

しかしAさんがプロジェクトのキックオフ会議でメンバーに

プロジェクトの方針やスケジュールを説明しても、

メンバーは心ここに在らず、積極的に動いてくれる気配がない。

 

自分の「伝え方」に問題があると感じたAさんは、

ユーチューブでお笑い芸人の喋り方講座を見たり、

自己啓発本で学んだり。

 

伝え方を変えて、再度メンバーに仕事の依頼をした。

が、全然効果がない。

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ということは

よくある話ではないだろうか。

 

このAさんしかり、

多くの人が勘違いしていることがある。

やる気のないセールスマンが身なりを整えても成果が出ないように、

伝える技術をいくら学んでも人には伝わらない。

なぜなら伝えたいと思うマスターリソースの方が1000倍重要だからだ。

逆に伝え方がめちゃめちゃ下手くそでも、伝えたい気持ちがあれば

相手には伝わる。

 

異国の地で、言葉が通じなくてもボディーランゲージでなんとか

自分の考えを伝えられた経験がある方は多いのでは?

 

本質的な問題は「本当に伝えたいと思うまで考えた?」である。

セールスマンが自分が良いと思っていない商品を売れないように、

あなたが本当に自分の伝えるべきことを伝えたいと思っていない限り、

相手にそれは伝わらない。

 

逆に相手に伝えたいと思える時はどう言う状態か?

必死である。

伝えないと死んでしまう。

 

そう言う状態になるには、やはり考える必要があるのだ。

世界の誰よりも考え、

成功できるイメージを物語になるまで考え続ける。

そうすることで、伝えるスタートラインに立てる。

 

SONYがマーケティングで突き抜けている理由 盛田昭夫氏

マーケティングの小手先論に飽きてきた人には是非読んでほしい書籍がある。

 

MADE IN  JAPAN

わが体験的国際戦略(1986年著)

 

 

 

 

言わずと知れたSONY創業者 盛田昭夫氏の本である。

 

この書籍

盛田氏の歩んできた人生がSONYの発展という歴史を通じてまとめられているが、

文章がストーリーと含蓄に富むため、優れたハリウッド映画のように、

映像になって脳内に再生される。

 

 

SONYはまだ世にない商品の市場を作り上げてきた。

レコーダー、テレビ、ラジオ、ウォークマン、プレイステーション、AIBO。。。。

その連続的イノベーションの創出は、今のアップルに勝るとも劣らない。

 

 

しかし、その成功の裏に潜む、シンプルな本質、

思考様式はあまり知る人はいないのではなかろうか。

私もそんな一人であった。

 

 

この書籍の中で、最も印象的なフレーズは、

当時SONYがベータマックスという、

テレビのビデオレコーダーを発売した時。

盛田氏は以下のように振り返っている。

 

 

「井深氏と私が1975年に家庭用VTRベータマックスを市場に出した時、

我々はタイムシフト(時間に拘束されずにテレビ番組を見られる)という新しい概念を売ろうというマーケティング政策を立てた。消費者を啓蒙し、新概念を植え付けて、

ビデオテープレコーダーの市場を創造するということが私の考え方だった。

 

(中略)

 

だから一刻も早く人々をVTRに引きつけて競争に勝ちたかった。

私は自分の新しい発想に興奮していた。

しかし考えてみると、私はこの25年間、ずっとこのことを考えてきたのだ」

 

 

この一文に盛田氏、つまりSONYのマーケティングの真髄が込められている、と感じた。

 

 

 

盛田氏がずっと考えたきたことは、人間はテレビに時間を縛られているということであった。

好きなテレビの時間帯に自分の都合を合わせる、それはおかしなことではなかろうか、と。

 

盛田氏は実直なまでに人間中心で物事を考える。

そして、社会の目に見えていない不満を探し当て、それを自分の考える正しい世界へと

啓蒙して行くことがマーケティングだと喝破してるのである。

 

そして盛田氏がもう一つ、非常にこだわっているのは「言葉」である。

SONYの社名の由来もそうだが、

タイムシフト、というキャッチーな概念を自ら創作している。

1950年代に声のレコーダーを作った時、

「優れたバレリーナには自分の練習をみる鏡が必要だ。

同様に優れた歌手には自分の声を確認する鏡が必要だ。声の鏡、それがテープレコーダー」

と話す大賀氏にひどく感心している。

 

言葉が人を動かすことを知っているのだ。

それは目に見えない闇夜を照らすサーチライトのように、

人間の一歩先を照らしてくれるのだ。

 

あえてフレームとしてはまとめるなら、

・社会に潜む問題を探し

・その問題を解決する新たな概念を提唱し

・それをわかりやすい言葉にまとめあげ、人々に説く

 

 

 

つまりSONYが行ってきたのは、宗教に近い行為である。

この芸当が得意なのは、ジョブズやイーロンなど数少ない人間だけである。

 

深いところでマーケティングは何か、を久しぶりに考えみたい方に、

オススメだ。

 

ヒットを生み出すのは変態

ほんと

大勢の真面目な人が一人の変態に負けてるんですよ。

世界で見たら日本がGAFAに破れてますよね。

あれは四人の変態に敗れただけです。

1億人の日本人が。ただそれだけ。

だからあまり深刻に考えなくて大丈夫!

 

そんなことを考えつつ、最近、わがままなサービスが人気ですよね。

 

甘いけど健康的

 

面白いけど勉強になる

 

疲れないのに痩せる

などなど

 

 

例えばうんこドリル。

うんこを書くだけで賢くなる。最高のコンセプト。

これがおしっこでもお尻でもうんちでもダメで、うんこであったことに

製作者のポリシーと理念を感じる。

 

www.shinbun.me

 

ただ なんでうんこか に対して、よくよくこの記事を読んでみると

 

面白かった

 

だけという天才的な答えをしているところをみると、

やはりこの方は変態である可能性は高い。

いや、ど変態だろう。

 

チームラボの猪子さんも知らない人が見たら、

ただのシャブ中にしか見えないだろう。

現に私の会社に講演にきた時は、10分おきになぜか酸素吸引をしていた。

酸素吸引をマジモンのシャブと見間違え、講演後、猪子さんは講演中に吸っていたと話している後輩がいた。流石に捕まるわ。

 

そんな猪子さんの理念は「境界線をなくす」である。

だからアートと現実世界が入り混じった素晴らしい作品を作れる。

つまりド級の変態である。

 

変態というのは、一般人の興味がないことに異常な興味を示す人のことをいうと思う。

だからパンツコレクターは変態なのである。

ただしここで大切なことは、

この興味の関心が既存の境界線を越えるか越えないかが本物の変態と

ヒットメーカーを分ける分水嶺なのだ。

 

うんこドリルも、うんこを突き詰めた結果、川柳に行き着き、

そこから教育へと発展した。うんこのペレストロイカである。

パンツコレクターもパンツを眺めるだけでなく、

パンツを並べ、匂いを嗅ぎ、序列をつければ

立派なパンツメディアである。

パンツの下克上である。

 

そう言った変態が突き詰めたサービスは、人類の根底に流れる欲求にミートする。

見たことがない

面白そう

これで楽できる

 

多くの企業が真面目に市場分析をして頑張った商品が

一瞬で市場から変態に淘汰される。

なんとも無残。滑稽。

 

だから会社の中には変態が一定数必要なのだと思う。

しかも割と偉い地位に。

なぜなら変態は変態しか理解できないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

子供の爆笑って1パターンしかなかった話

こんな記事を見つけた。

 

news.yahoo.co.jp

 

世の人たちは子供を笑かすことに困っているのかな、と思い。

ちょっと自分の中で子供を笑かすパターンを考えてみました。

 

みましたところ、

結局子供から爆笑を取っているケースは、

1パターンしかないことが判明。

 

 
それは
「子供のとった行動に対して、オーバーリアクションをする」
 
それだけ。
 
特に3歳程度の子供には最強。
これは自分の子供だけかもしれないが。
 
例えば、
・ボールを手でキャッチする遊びをやったとき、
 子供が投げたボールに全身でスライディングをしながら超オーバーリアクションでキャッチする
・自分が目を閉じた状態で、子供が目の前にくる。んで、自分の目を開けた瞬間、目の前に子供がいることにめっちゃ驚く
・子供がやった変顔に対して、オーバーリアクションで驚く
 
などなど。
これは子供を笑かせる、
という思想ではなく、
子供の行動により大きな変化が起こること
 
を子供は大好きだということ
 
思い返してほしい。
みんな。
学校の教室の扉に黒板消しを仕込んでいたことを。
あれで、
友達の頭に
黒板消しが落ちて。
友達がくしゃみなんかしたら、
爆笑じゃないか?
もしくは
自分のおならで
誰かがすごいくさがっていたら、
爆笑しないか?
そういうことやねん。
 
 
 

 

 

 

 

 

僕の友達が面白くなくなってきた

結婚式が立て続けにあった。

高校の同級生、そして大学の同級生。

めでたいこと。

 

なのだけど、

 

結婚式であった昔の友達が、

以前よりも面白くなくなっていたのです。

 

これは由々しき問題。

 

なぜなら、その友達は、少なくとも

当時はとても面白かった記憶がある。

そして、結婚式で会ったのも、コロナがあったから、

数年振り。

話すことは山ほどあった。

お互いの近況、仕事、家族、ハマっていること。。。

 

しかし、盛り上がらなかった。

正確にいうと、話すことが一巡したら持久力がなくなってしまった。

 

基本会話の面白さは、

話せるカテゴリー数×各カテゴリーの密度

 

 

面白い、というか気の合う友達との会話は、揺れる船の上でキャッチボールをしているみたいなもんで。

ボールが変な方向に飛んだり、時にはキャッチできなかったりする。

 

仕事なら、自分の仮説をぶつけて、

それを色々な角度から(大抵は偏見なのだが)それを検証する。

でその偏見でゲラゲラ笑う。

恋愛も、趣味も、政治も、映画も。いろんなカテゴリーでそれが試せる。

まあそんな感じ。

 

 

だいたい久しぶりに会う友たちとは近況を話しているだけでも面白い。

しかし、

面白くないときは、自分の想像を超えてこない。

驚かない。

ボールがキャッチャーミットど真ん中に飛びすぎる。

変化がない。

期待通りの答え。平坦。

 

 

そして、最もきついのは

ボールが飛んでこない。

つまり、質問しない。

これは相手に興味がないということ。

もっというと、

相手を喜ばせる想像力が欠如してきているということ。

相手に話を振るのは

「相手が興味のあるボールを投げる」

トレーニングであり、

これは日常の努力が結構ものをいう。

 

しかし、この力が30代を超えて低下しているということは、

おそらく。

普段から想像力を使うことが減ってきているのか、

もしくは、

それをめんどくさいと思ってしまっているのか。

 

自分は、

普段から会話を盛り上げるために

常にあたまと神経を使っている。

相手の感情を読み取る。

それは嫁でも、友達でも、子供でも同じ。

そして、相手に何の話を振れば

最も盛り上がるのか、

これは思考ゲームであり、

常に3秒以内に答えを出す必要がある。

トレーニング。

 

まあどーでもいいのだけど。

そう考えると、自分の嫁ちゃんは面白いよな〜と思ってしまう。

喋るときはよく喋るし、(7割くらいは無口なのだが)

結構自分の変なフリにもうまく対応してくる。

 

うむ、自分の嫁を見直す機会になった。