日本の就活は戦略的思考と営業スキルを高める絶好の機会
新卒一括採用という歪んだ制度に不満を抱える就活生諸君、
マインドセットをタイトルのように変えるべきです。
日本の雇用体系が崩壊しない限り新卒一括採用も変わらない仕組みなので、
面接というゲームに不満をたれるより、この事実に真っ向から向き合い
むしろ自分を磨く機会と思って楽しんで欲しい。と思うわけですよ。うむ。
①エントリーシートは戦略思考の入り口、面接は対面営業スキル
まず就活をやっている人たちに言いたいのは、企業は学生というハイリスク商品を購入している、という事実です。
しかも、37年契約という圧倒的不利な立場で契約をかわされるわけですよ。
さらにパッケージに入った商品の説明書を読むしかできず、その機能を問ういくつかの質問ができるだけで、実際にその商品を使い心地を試せるわけでもなく、
途中で不具合が出たり壊れたりしても、捨てることもできず、金を払い続けるという不利な契約を結ばれるわけです。
契約内容は毎月払いの毎年無条件利息、プラス年2回のボーナス出費に加え、場所代や机、定期大、多大な諸経費合わせて、トータル5億円〜というでかい買い物をしているわけだ。
だいたい企業で売り上げ1000億、営業利益5%の会社で50億としても上記の五億円は、君らのバイト感覚でいうと、毎月8万円ちょっとの自由に金が使える状態において(20万/月稼いでそん中から生活費が60%)総額12万円の38年ローンという
ようわからん商品を何個も、時には何十個も超短期間で購入する必要がある、しかも毎年、という異常性を感じて欲しい。
で、企業人事の採用担当というのは、世界中のチームに対して、自分たちが買った商品を届ける売人のわけですよ。
だからクソみたいな商品を届けたら総スカン食らうから必死なんよね。
で、じゃあ今年はどんな商品買うか、と考えて、とはいえ全国の店舗一点一点回って商品なんか選んでられないか、とりあえず金使って募集するわけよね。
するとそこにいろんな商品が集まってきて、どこどこのブランドで、どんな場所で作られて、こんな特性があるよ〜とか色んなのが集まってくるんやけど、
この商品のカタログがESというわけやな。で、いちいちカタログ見てられないから、ぱっと見で全部判断します。
で、学歴は、この商品のブランドのわけですよ。東大、早慶はポルシェやダイソン
みたいな一流ブランドのわけよね。
で採用する側からしたら、安心したブランド買う方が信頼感あるし、
仮に失敗しても上司から怒られないわけよ、だからまずは学歴を見ちゃうわけよ、
こういう現実を把握しておきましょうね。
で、この商品をたとえばギターとして考えてみると、
カタログを読んでちょっと興味あるギターを、次店頭いって試し弾きしてみよかな〜
というのが次の面接なわけですよ。
でもね、店頭で商品を選べる時間はめっちゃ短いから、とりあえず、
何かの音を引いてみるわけですよ、オーソドックスなコードを鳴らして見たり、ちょっとしたソロを引いて見たり、これはまあ面接でいう質問なわけよね。
「学生時代頑張ったことはなんですか?」とか「あなたの強みはなんですか」とか、
ひたすらメジャーコードを弾きまくって、いろんなギター触ってみて、
どれかを選ぶんやけど、選び方のバランスが大事なわけですよ。
そりゃあ、エッジのきいためちゃめちゃメタルな音出すギターばっかりだったら、チームから叱られるから、それこそクラシックはいけるやつ、とか、
あまり特徴はないけどどんな楽曲も合わせられるとか、
この曲だけではめちゃめちゃいい音でるな、みたいな様々なギターを選んどいたら、まあなんだかんだそれが適材適所に配置されて、チームはうまく行くわけですな。
だから学生諸君はこの悩める売人という採用官の背景やメカニズムをしっかり把握しておきましょう。
②ギター側からの戦略的思考
この事実に対して、どうやって自分を売人に選んでもらえるか。
ここで、戦略的思考の出番です。戦略的思考とは、「目的を達成するための最良な方法を自分の限られたリソースから判断する」ことのわけですよね。
となると、この場合の目的は、「自分という商品を買ってもらう」、つまり採用してもらうことが目的です。
で、採用をしてもらうために、どのように攻めるか、ここが戦略的思考の最も大切なところです。
人事がどのような背景やメカニズムで意思決定をしているか、そしてカタログを眺めるわずか一分間で、自分という楽器が最も気持ちよく音が鳴ると伝えるために、
どんな見せ方をしたら良いか、ここを死ぬ気で考えるのが戦略的な思考の入り口です。
人事の背景や課題を理解すると、どんな音を鳴らすべきか見えてきます。
でもそれは案外その会社の社員から直接聞いてみたら色々わかると思います。
聞き方は、たとえばある程度事業感がある、商品企画や経営企画の社員十人くらいに、御社の課題三つ教えてくれ、と言えば何となく見えてくると思います。
くれぐれもHPなんかを参考にしないように。
で、彼らの背景や課題を理解すると、
じゃあ自分というギターはどんな産地でどんな音が出て、どんな環境下でも音がブレなくて、どんな人が引いたら綺麗な音がなる、と売人が喜ぶか、ということを考えて説明、つまりESに落とし込むわけですよ。
ここで、大切なことは、嘘を着くのではなく、「それに見合う部分を自分の中から切り取る」ことなんよね。
就活生はここで、いや本来とは違う自分をPRして嘘を着くのはいやだ、とかいうんだけど、自分を客観視するのって結構難しいから、そもそもその自分の自分に対する見方や理解自体が間違っている可能性が高いし、
人のいいところはたくさん存在してて、自分はこういう人間だからと割り切らず、
そのいいところをしっかり見極めて伝える、というマインドを持つことが大切なニョン。
しかしこの時あまりにも自分の価値観から外れていることを書くと
買ってもらった後、後悔することになるから、自分の価値観からブレない範囲で自分の最大の強みをクリティカルに売人が求めることにフィットさせて行くこと、これがまさに思考の要です。
つまりESを考えて書くことは戦略的思考を磨く絶好な機会のわけですよん
③面接という営業スキルの磨きどころ
見事ESが通ったら、はい、面接、つまり自分の対面セールス、営業の時間です。
面接ってやっぱり大切なんですよ。人に話し、自分の伝えるべきこと、魅力を伝えること。これはどんな業種でも、どんな市場に出ても必要です。
この時売人は実際の店舗に行って試し演奏を行います。
わずか十分間で自分の魅力を最大限に伝えるわけですよ。
ここで優秀な営業マンとそうでない営業マンを考えてみましょう。
ダメな営業は自分の商品の悪いところを伝えるのがうまく、良いところを伝えるのが下手くそです。またちょっと質問されても戸惑ったり、他社製品よりも優れた理由を言えなかったり、そんな感じ。
一方で、優秀な営業マンは、商品の魅力を伝えるのがうまいです。
またダメな部分を突っ込まれても、「確かにそういう面もあるが、実際に使って見たらほとんど気になりませんよ」という言葉をあらかじめ準備していたり、他の製品より優れた理由をスラスラ語ることができる。
優秀な営業マンとダメな営業マンは圧倒的。
つまり、就活でもできる学生は、自分の魅力を伝えるのがうまく、他の学生より何が優れており、ダメな部分はどんなカバーリングができるか、などを事前に準備していつ質問されても答えるようにしているだけです。
この姿勢や受け答えだけでもちろんその人物の本質はわからないし、
一緒に働いても全然使えないかもしれない。
しかし、自分をしっかり魅力的に伝えるスキルは、営業スキルの素地でもあり、
それをしっかり準備することだけでも仕事スキルの向上につながっているわけです。
だから就活を単なる一過性の出来事として、受験勉強みたいに終わった瞬間全て忘れる詰め込み式の勉強みたいにせずに、一生使えるスキルを身につえる、という意気込みで行うべきだと思うのですよ。
ちなみに外資系ではインターンが主流で、一緒に働いて使えるかどうかを判断し、
採用を決定するのが普通です。
そりゃ買った後で使えない商品だどわかったらいやですよね、クーリングオフもすぐできないし、つまり非常に合理的な判断なわけですよ。
そしてこうなると全然戦略が変わってくるよね。そもそもの戦略の目的が「一緒に働く中で有能さをアピールすること」に変化しますからね。
ただし、日本は面接という「おもちゃの箱に入った商品」を買う仕組みでしかなく、
その商品を遊んでみて購入するかも決められない社会のわけなんで、それはしょうがない。っていうことです。
以上、つらつら書いてきましたが、学生諸君は就活というゲームを
戦略的思考と営業スキルを鍛える絶好の機会だというマインドセットで楽しんで取り組んでみてください。この二つは、企画を行うとき、営業を行うとき、起業した時、
投資家になったとき、あらゆる側面で必要になるスキルです。