日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

人生で無駄な経験がないように人生で無駄なアドバイスはない

自分の好きなことや得意なことを仕事にしろ

会社が嫌ならやめてしまえ

 

など会社や組織に属さずに、自分の人生を生きろ、という甘美なフレーズを最近目にする機会が増えた。別に人それぞれの人生だからどう生きるかは個人の選択の自由であり、全く問題ないのだが、ちょっと胸糞悪いのは

年もいかない若造が受けたこの業務は自分に向いていないから仕事辞めた、とか、

会社の上司と気が合わない、など、浅い経験値の分際で仕事を選り好みしたり、すぐに仕事を辞めたこと自体を評価するような空気感である。

また、長年会社に勤めている人の意見は時代遅れだから聞かなくて良い

など、長年勤め人でいることを冷笑する空気があることも嫌いである。

 

 

僕の個人的な経験として、どんな人であろうと人から言われたアドバイスは素直に受け止める、それをした方が人生は圧倒的に豊かになると感じている。

最近先輩、上司から苦言を呈されたり、ご指導を受けることがめっきり減ってしまった。

入手6年目だからそれはそれで当たり前だし、当時はこいつら細かいこと言いおってから、うっとおしいなと思っていたが、いくつかは非常に大切な進言を言ってくれた人もいる。

 

そして、当時はその意味がわからなかったり、一見自分の知識を露呈したいだけのアドバイスもあったりしたが、そこでそれを否定せず、素直に受け入れることでそれが自分の強みになった場合もあった。

 

ところでアドバイスには概ね以下の軸で考えられる。

 

①愛があるアドバイスか、愛がないアドバイス

②言われた本人が有益と感じるか、有益と感じないか

 

そもそも愛がないアドバイスはメンタルがやられない範囲で聞けば良い。

愛があり、自分が有益となるアドバイスはどんどん聞けば良い。

 

問題は、愛はあるが、自分がそれを有益と感じないアドバイスの場合だ。

 

この時、こいつうざいな、と思って有益と感じず適当に流すことは最ももったいない行為だ。

 

なぜなら有益かどうかは、言われた本人の視点や経験、その人に対する好き嫌いで人間は決めてしまうものだからだ。

 

大体の場合において上司の方が自分より幅広い経験が多く、そのアドバイスを伝える「目的」が必ずある。

しかし、若い頃はこの目的まで頭が働かず、上司もそれをいちいち伝えないので、短絡的に言葉のみを捉え、アドバイスを浪費してしまうのだ。

ここでは、まず素直にアドバイスを受け入れて、その上司のアドバイスの真の目的をとらえる必要がある。

 

例えば、過去自分は商品企画を行う中、「このネジ一本の価格がいくらか、瞬間的に答えられるようになれ」とある先輩に言われ、そんなん開発の仕事で企画の俺が把握しなくてもええやん、と思いつつ、素直に聞き入れていた。

それから様々な部品の原価を頭に叩き入れて、組み立て費用や物流費、はたまた間接費など、原価全体を把握することが好きになり、いつしか工場との価格交渉や、ギリギリの価格設計を狙った販売価格など、原価を通じた仕事は自分の強みとなった。

 

昔から自分は戦略や抽象的な思考が得意で、ネジ一本の原価なんか俺が把握する必要がない、と思っていたら、そのあとの実務ベースでリーダーシップを持って工場や開発を率いて仕事ができなかったし、原価を詰めて、より適した価格で市場投入することもできなかったかもしれない、つまり、当時の「ネジ一本の原価を把握しろ」というアドバイスは、商品企画として工場と価格交渉スキルを持つことや、リーダーとしてチームを引っ張る武器となることだったと今になってはわかるが、当時はそれをわからなかった。

なぜこんなことを話すかというと、以下の記事で、自分の強みにフィットするアドバイスを見極めろ、と言う内容があったが、自分からしたらいやいや、まずは自分の強み云々考えずに、フラットに受け入れてみたらと思ったからだ。

 

forbesjapan.com

 

もしかしたらこちらの記事の上司は、この方の企画スキルを見抜いており、企画として実行力や現場オペレーションを把握した方がより実現性のある精度の高い企画を打ち出せる、と考えた上で、イベントの細かな手順や必要な機器類、価格構成を把握していくことが、ゆくゆくは企画者として大きく成長するための必要な能力だと思い、この方にアドバイスをした可能性があるからだ。

もちろんこの方は入社当時は素直に聞いていたと思いし、今振り返るとそう言えるわけだが、個人の狭い経験で判断するのはもったいないじゃん、と言う話。

だから、自分の狭い価値観でアドバイスを浪費してしまうんではなく、

まずは素直に受け止めて全てのアドバイスを自分の強みにできるよう努力してみるのもありじゃないか、と思った次第である。

つまりこのマインドセットを持つことが物事をフラットにみることに繋がり、

それが自分の戦う場所を素直に見極める判断の一助になると言うこと。