プレゼンテーションの隠れたコツ
今日はそこそこ大事なプレゼンだった。
自分の考えた事業計画を別部署の取締役に説明した。
結果的にはゴーサインを頂き、第一関門は突破したが、何となく不満が残った。
そう、あの取締役の親父を感動させることができなかったのだ。
目に涙を浮かべプルプルしながら、嗚咽を漏らし、鼻水を垂らしながら、
「是非、是非やりましょう、一緒に世界を変えましょぅぅぅうううう」
とはならなかったのだ。
「うん、いいよね、君の事業計画の方がスケーラビリティーがありそうだね♪」
で終わってしまった。
うむ、これは問題だ。一体どうやったら人は感動するのだ、何故そこそこで終わってしまったのか、そんなことを考えていたが、
そもそも人ってどんな時に感動するのか、もっというとどんなことに心を動かされるのか、
と考えたいたら、とある本のこのフレーズを思い出した。
「全ての人は笑う前に驚いている」
そう、人の喜怒哀楽の前には必ず、驚きがあり、それが喜怒哀楽のトリガーの一つになる。例えば、自分の誕生日に彼女がサプライズのプレゼントを準備していてくれてたら、そこには驚き→喜びがある。
また、幼い息子が父のために絵を書いてきてくれたら、そこにも驚き→感動がある。
死に際の主人公が病床のベットで力つきる直前に放つ冗談、
母が自分の学費工面のために実は寝る間も惜しんで働いてくれてたという事実
ラストの試合で実は怪我をしていたが、誰にも伝えず、痛みに苦しみながらも走りきったスプリンター、それを試合後に知った観衆の感動
全て驚きが存在している。
つまりプレゼンで感動させるためには、驚きのトリガーが必要であり、それの巧みな設計がいるわけだ。
ではその驚くトリガーを作るには?また、それはどのようなタイミングでどんな感情の揺さぶりを仕掛けるために設計したら良いのか?と考えたくなる。
たとえば企画の内容自体で驚きを作るのか、それはダメだ。企画の内容が驚くほど斬新であればあるほど普通の人は拒否反応を起こしてしまう。
では声の抑揚、表情の変化など外的な部分で驚きを作って見るか、それも違う。
で、個人的に最もクリティカルな驚きは、
その企画によってユーザー体験がどう変わるのか、ユーザーにどんな幸せをお届けできるのかのその具体的なexperienceに驚きがあると、感動にかわり、それが共感になる。これが最もシンプルであり強力である。
そして、このユーザー体験の変化に驚きのテクニックを盛り込むことが重要となる。
そういえば今日の自分のプレゼンもユーザー体験は普通の起承転結のストーリーであり、そこに驚きの設計を入れることができていなかった。
たとえば、よくある子育ての忙しいお母さんの時短を手助けする商品で、
お母さんは普段こんな不満を持ってて困っていました。しかし、この商品を使ってみたら、お母さんにはこんなハッピーが起こりました。子供とお母さんの関係はこんなハッピーになりました。という提供価値の商品があるとする。
これに驚きを持たせるためにはどうしたら良いか、たとえば全て子供目線での話にしてみるのだ。
子供が、お母さんが毎日忙しくそれに寂しさを感じており、その寂しさを紛らわすために、一人でずっと河原に通っていた(そこはお母さんとの思い出の場所)
しかし、お母さんがとある商品と出会うことで、時短に成功し、結果的に子供は河原に通う必要はなくなった。
文字にしたらよくわからないかもしれないが映像にしたら全く違うものになるであろうし、おそらく企画の説明の際のユーザー価値の部分でも前者と違った印象を与えられるのではなかろうか。本来のお母さん向けの商品をあえて子供視点で語ることによって、その価値を母だけでなく、母が最も愛する子供にとってどんだけ素晴らしいことなのか、という説明が驚きになっているのだ。
つまりちょっとしたユーザー価値の説明部分に聞き手の脳に驚きを与えられる説明を入れ込むことが良い。
脳という部分ではその業界の固定観念や常識をちょっと上回るような驚きがよく、それは自分で様々な人に説明をしながら、良いexperienceの説明を探していくしかないが、
その心構えが重要である。
できればリアリティーがしっかり伝わるように、ゆっくりはっきりと喋りながら、その人の頭に思い浮かんでる描写を思い描きながら、説明を入れる。
それだけで聞き手の感動を生み出せちゃうし、企画マンであるならばそこまで含めた企画設計が不可欠であろう。
他にも企画を思いついた原体験の説明をすることだけで驚きを誘発できることもあるし、
その企画の仮説検証でこんなたくさんのお客さんを訪問したぜよ、という熱意のファクトでも驚きを作ることができる。その驚きの設計がより優れたプレゼンに昇華させるコツであると感じるわけだ。
ただユーザー提供価値の部分で驚きを構築しておくのは万人に有効なので、それを追求することは企画自体のブラッシュアップにも繋がるので、ぜひ取り組んでいただきたい。
とこんなことを書きながらも自分も最後読み手の方に驚きかせる文章が書きないか考えていたが何も思いつかなかったので、まだまだ自分も未熟である。精進あるのみ