日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

孤独を感じやすくなったことで、小さな貢献マーケットが生まれる

 

以前、非常に気にかかったサービスを発見したのだが、

なんとなくそのサービスはぼくの頭に残り、しばらくしても

離れなかった。

正直、気持ち悪いと思ったからだ。

それは、「自分の人形に旅行をさせる」というサービスで、

依頼者の人形を借りて、その人形をリアルに旅行させる、

というサービスである。

人形を実際の観光地に連れて行き、

名所や旅の道中の写真を収めて販売するサービスであった。

 

人形の擬人化が進化すると、仰天、こんなサービスが生まれるのかと思ったが、

これと同類のサービスを本日発見してしまった。

以下だ

 

nuigurumi-hospital.jp

 

今年のグッドデザインに選ばれたサービスであり、

その世界観やユーザーのインサイトを捉えたサービスと高評価であった。

 

これは、一応人形の修理という目的があるので、

まだ理解できたが、この手の需要はニッチであるが、

確実に需要があるビジネスであると感じた。

 

 

このようなビジネスが生まれる背景は、

・孤独な現代人が増えている

・大切なもの(愛着があるもの、ここでは擬人化)には際限なくお金を払う人が増える

 

であると思うのだが、

まず、人は孤独になると自分以外のモノを擬人化したがる。

これは人間本能ベースに組み込まれているもので、

擬人化による共感や安心感により、孤独を解消している。

キャストアウェイの主人公がバレーボールを擬人化したのがいい例だが、

現代では、それがペットであり、人形であり、バーチャルのアバターであり、

何でもありだ。

(孤独な現代人が増えている、というのは正しくは、

孤独を感じやすくなった人が増えているだけだ。

これはSNS上での他人の比較がしやすくなってしまったため、

孤独感を感じやすくなっただけであるのだが。)

そして、孤独な人達が擬人化したもの(この場合は自分の子供に近い感覚である)に対しては、リアルな人間に近いサービスを行わせること、

ここにある意味

 

かわいさと

ギャップによる面白さが

 

重なることで、新しいエンターテイメントが生まれているのだ。

 

 

一見、こんなものにお金を払うのは理解できないが、

考えてみたら自分の大切なペットを病院に連れて行くのと近い行為であり、

擬人化の対象が広がっているだけである。

 

今後この人形ビジネスにおいては、

様々なサービス、例えば自分の人形を遊園地に連れて行ったり、

ドライブに行ったり、毎月どっかに連れて行ってあげるサブスクリプション

サービスが生まれてもおかしくないが、

これは本質的には

孤独な現代人の貢献欲求を刺激しているのだ

 

つまり、自分の人形たちに世話を焼くことで、自分の存在意義をかみしめているのだ

 

これは、母親が子供に世話を焼いたり、

女性がダメンズ紐男に世話を焼いたり、

退職前のおじさんが、若手社員に世話を焼いたり、

 

貢献欲求を刺激する延長線に位置しているのだ。

 

そして、今後は、タイトルにもある通り、

自分の貢献欲求を刺激する小さなサービスが花開くことである。

 

ここでポイントは小さな、ということである。

 

何もカンボジアの貧民地域にいって、井戸を掘ってくるボランティアほど

大げさなことではないwww

 

わかりやすい事例は、

ネスカフェアンバサダーである。

 

職場のネスカフェアンバサダーをしてくれるアラフォー独身女性は、

職場に珈琲をお届けするということで、

自分の貢献欲求を開発していたわけである。

 

人の講演を聞いて、そのプレゼンにイイネをしてあげるだけで、

それはある意味貢献であるし、

毎日掃除してくれるおじさんへの感謝の気持ちを表現することは

貢献である。

 

このようにちょっとした自分ができることを

社会に還元できる仕組みが今後強いプラットフォーマーになり得るし、

我々もそのようなサービスを開発していくことで、

もっと多くの人が生きがいを持って生きられる社会が

実現できるだろう。