サブスクリプションモデルを成功させるために必要な考え方
あらゆるサービスがサブスクリプションモデルを導入しようと躍起ですね。
あぁ、また始まったな。と僕は思いながら、色んな企業のサブスクサービスを眺めてますが、かつてのIoTやデータビジネスと同じように、
手段が目的になっている典型です。笑
だって、サブスクリプションってマネタイズの手段ですやん、
それを目的にしてどうすんの?と思いながらも、
自分自身サブスクサービスを展開しようとしている身なので、
その辺の思うことをまとめたいと思います。
目次
- ①そもそもなんでサブスクリプションモデルが増えてるのか?
- ②サブスクリプションモデルで成功するために考えるべきポイント
- ③ハードウェアでサブスクリプションに成功しているサービス
- ④ハードウェア企業がサブスクリプションを行う上で大切にすること
①そもそもなんでサブスクリプションモデルが増えてるのか?
まず、僕の中でのサブスクリプションモデルの定義は
(1)利用期間に応じた支払い(途中解約も可能)
(2)サービスがアップデートされる
です。
(1)だけならただのリースやレンタルですが、
(2)があることによってサブスクリプションと言えるかと思います。
(そもそも(1)だけをサブスクと思っている恥ずかしい企業もいます)
では、なぜサブスク化が進んでいるのか、それは大きく二つの理由です。
一つはAmazonやNetflixなどのテックジャイアントが
無尽蔵の体力を生かし、低価格でお得感あるサブスクサービスを構築してしまい、
他の企業が焦ってるからです笑
二つ目は、顧客獲得コストが上昇しているため、お客さんと関係性を持ち、LTVを上げたいからです。
情報が爆発し、企業からのメッセージが届きにくい現代において、
一度お客さんになった方を逃すのは勿体無いですよね。
もちろん時代の変化が激しくその都度顧客の課題も変わるため、柔軟にサービスを変化させないと顧客の課題解決にならないし、
企業は顧客とつながり続け、彼らの声を得ながら、カメレオンのようにサービスを変化させることが必然になりつつあるからです。
②サブスクリプションモデルで成功するために考えるべきポイント
こっからが本題です。
まず超大前提として、お客さんの気持ちになってください。
月々で支払うサブスクサービスって普通に嫌じゃないですか?
ちなみに僕は嫌です。だって毎月お金払いたくないやん。
月々支払う携帯代金でさえも、嫌気がさしてます。
僕はかなりケチな部類に入ると思ってて、大体のサブスクサービスは初回の一ヶ月無料だけ体感して、ほとんどやめます。
唯一やってるのはアマゾンプライム会員くらいですね。他は全部辞めちゃいました。
結局、コスパがあまりよくないんですよね。
そして僕だけじゃなく、仕事柄様々なB to Bのお客様にもヒアリングしてきた結果、
みんな同じです。
みんな月額お金払いたくないです。
そう、ここに心理学的に大切なポイントがあります。
サブスクを成功させるには、「月々支払うことによるお得感」が必ず必要です。
そして更に大切なことは、この「月々支払うことによるお得感」
というのは何かと比較してお得感を感じさせなければ絶対ダメです。
例えば、サブスクの代表格であるNetflixですが、
彼らのサービスの比較対象は、「自分でDVD屋に行ってビデオを一本ずつレンタルする」です。
DVD屋に行ってわざわざ一本づつ借りてお金を払うよりは、
Netflixで色んな映画を見れた方が楽だしお得だからみんなお金を払ってるわけです。
この視点に立つと、逆に失敗した事例の理由もわかります。
例えばペッパー君、月々9800円の通信費がかかります。
(その他諸々合わせると3万弱/月)
SoftBankの目論見としては、
バイト一人雇うよりは、ペッパー1台の方が安いですよ、ということでの価格設定かと思いますが、多くの購入した企業ではバイトの削減に繋がらず、解約したところが多かったですね。
逆にバイトとしてしっかり機能している企業では継続して導入しているようです。
③ハードウェアでサブスクリプションに成功しているサービス
こっからは自分自身がハードウェア屋なので、メーカーの事例をあげたいと思います。
日本メーカーで代表的なのはSONYでしょう。
aiboやプレステでハードとサービスを組み合わせたモデルを行ってます。
aiboなんかも月々2980円の費用が発生しますが、
これは本物のワンちゃんを買って毎月餌をあげたりする費用に比べたら、
まあ安いよね、ということだしいい感じの価格設定をしています。
参考:
ソニー復活を牽引、PSとアイボの絶妙「サブスク」モデルの仕組み | 今週の週刊ダイヤモンド ここが見どころ | ダイヤモンド・オンライン
またアメリカで超人気のPelotonという自宅用エアロバイクですが、
これもハード+月々39ドルかかりますが
ジムの毎月1万円比べたら、安いよね、という感じですよね。
このようにハードウェアとサブスクサービスを組み合わせた成功事例でもそうですが、
既存の何かと比較してのお得感がなければサブスクは絶対成功しないでしょう。
④ハードウェア企業がサブスクリプションを行う上で大切にすること
最後にいくつか思ったことを。
SaaSだけでなく、ハードウェアとSaaSを組み合わせたモデルが今後のメーカーの勝ち筋の一つになってきます。
その時メーカーの我々は何を考えれば良いか。
一つ目は、ハードだけでなく、ソフトウェアによるサービス価値の比重を大きくしておくことが重要になってきます。
先ほどのPelotonはまさにそうですよね。
エアロバイクというハードはあくまでサービスの一部で、どちらかというと全員でリアルタイムに
特別な講師からエクササイズを受けられることが重要な価値です。
炊飯器なんかは釜とか圧力などハードに起因する要因がすごい大切で、
ソフトウェアでアップデートできるといえど、温度と時間くらいです。
プロダクトの比重が大きすぎると、物さえ買えば良い、で終わってしまうので、
初めからソフトウェアの価値比重を高める設計が必要です。
むしろオープンソースにしてしまって、サービスが無尽蔵に増えていくようにしても良いかと思います。
二つ目はサービスの付加価値としてコミュニティを構築すること。
特にユーザー同士で繋がりを作ることができ、それでさらに素晴らしい体験ができればサービス価値が高まります。
例えばストライダーという最近流行っている子供向けの自転車がありますが
これは商品購入後も様々なイベントを行っており、体験価値を高めているが、
これをサブスクリプション化してしまい、イベントに優先的に参加できるような権利を得ることができる、などは熱いと思います。
三つ目は、マネタイズプランを複数作ることです。
僕がお客さんと話す中で、よく言うのは、特にB to Bの場合、サブスクに厳しいですし、費用対効果に対してかなりシビアです。
ハード導入費用だけでそこそこ金がかかるのに、さらに
月額サービス費用もいるのかと。
なので、サービス部分はフリーミアムのように、無料で使える部分と有料で使える部分を分けて提供し、たまに有料サービスを無料提供し、
そこから有料サービスに誘引する戦法が有効かと思います。
ハードの場合、お客さんが初期費用をかけて導入はしているので、
チャーン(解約)はSaaSだけに比べたらされにくいかと思います。
なので、積極的に有料サービスを体験できる機会を提供し、多少プロモーション費用をかけても貪欲にアップセルを狙う戦法がいいかと思います。
ハードウェアの場合、ハードの製造費用がそこそこかかるので、ハードをばらまく戦法はアマゾンのように体力がある企業でないと難しいですし。
以上、皆さんサブスク頑張りましょう!