日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

AIスピーカーはとどのつまりリビングには置かない方が良い

各社がアホみたいにAIスピーカーに自社の商品を繋げようとしたり、

自分たちで新たなAIスピーカーを作ろうと切磋琢磨している。

 

AIスピーカーを作ろうとしている狙いは様々あると思うが、概ね下記三つかなと思われる。

 

AIスピーカー自体の売上による儲けを狙っている

・リアルの顧客情報の収集により自社エコシステムのパーソナライズ化によるLTVの向上を狙っている

・顧客情報を食べることで自社AIの進化を狙っている

 

さて、自分はいち早く某A社のAIスピーカーを購入して使ってみたわけだが、

半年ほど使ってみて、これはかなり問題ありだと感じている。

 

なぜかというと、AIスピーカー自体に話しかける行為が若干家庭内に気まずい

空気を作り出しているのである。

ちなみに自分の家庭は、自分、嫁、そして子供(0歳)である。

 

結構自分にとって、AIスピーカーに話しかけるのは楽しみなことである。

たとえば、今日の天気教えて!とか、

おすすめミュージック流して!とか、

とか、まあ色々ある。

 

しかし、ルンルンで話しかける時の、自分に対する嫁の視線が圧倒的に厳しいのだ。

むしろ軽蔑しているレベルである。

 

そりゃその気持ちは分かる。自分は毎日家事、育児で忙しい。子供とはほとんど会話なんてできない。

旦那がやっと夜遅く、仕事から帰ってきたら、初めてと会話できるわけだ。

その大切にしている時間を、この旦那は訳のわからない機械にウキウキで話しかけて、一喜一憂している。わざわざスマホで調べりゃ分かることをこの男は機械風情に話しかけやがって、そんな時間があるなら自分に話しかけろボケ、と、そんなところだろうと思っている笑

 

ここはAIスピーカーの弱点である。

一つは、AIスピーカーとの会話がほかの人にまる聞こえであること、そして、

こちらの方が問題だが、結局AIスピーカーはモバイルの一対一の思想を引きずっており、空間ファーストに設計されていないのだ

これが一人暮らしの家庭なら別に問題なし。

しかし、いざ家族単位になってくると、リビングに置かれたスピーカーは、

家族が共有して扱えるものではないのだ。

 

なぜか?

家族ユニットにおいて、リビングの空間は家族の交流において最も大切な空間で

あると共に時間の取合いだ。

家族の食事、会話、TVを一緒に見る、子供の面倒をみる、など

一日多くても3時間ほどしかないこのリビング空間における時間の取り合いが行われている中、「AIスピーカーと会話をする」という行為は、あくまで話しかけた本人の自己満であり、家族となんら感情や体験の共有を行っていない。これはリビング空間の時間を蔑ろにしており、一つの罪である。

もっと言うとAIスピーカーに話しかけるということは、

話しかけた本人が家族以外(つまり機械)との時間を俺は優先している、ということを高らかに宣言している行為と同列なのだ。

それを一日に何度もできるだろうか?

いや、むずいよ。これは。

最近僕なんか嫁がお風呂に入ったタイミングで話しかけてるからね。

 

AIスピーカーは調和しているリビング空間の時間を破壊する力を持っているのだ。

逆にこれが機械の一つの限界であると感じる。

 

個人的には、リビングという空間においてはより適したUIが存在すると考えている。

その商品は、家族の時間を邪魔せずに、家族の交流や会話を自然に誘発させる価値を持っているものだ。

今はそんな商品を企画中である。打倒AIスピーカー