日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

モノとコトの違いを考えるときはそもそも論を考えろ

最近のうちの社長の口癖は

「最近いろんな人にモノとコトの違いを聞いて回っていますが、なかなか明確な回答をしてくれる人は少ないんですよ〜」

らしい。

 

これはヤバイ、なぜこんな大事なことを自分なりに定義しておかないのだ。 

 

なので今日は今更感半端ないが、「モノ」と「コト」の違いについて語りたい。

 

 

 

うちの会社は典型的なモノ発想の企業であり、最近やっとモノ発想はやめてコト発想で企画をしよう!など言っているが、正直言葉だけ上滑りしている感が否めないし、

僕がこのようなモノコト論議に対して違和感を覚えるのは、モノとコトの違いばかりに話がいき、そもそも何故モノとコトの違いを考える必要があるのか?という大切な目的がすっぽり抜けているためだ。

 

よくある日本企業の流行りワードに取組もうとして、手段と目的が入れ替わってしまった悪い例の典型だと感じている。

 

そこで、まずはそもそも論に立ち返ってみたい。

 

①そもそもなぜ我々は「モノ」と「コト」の違いについて考えるのか?

結論は顧客がモノ発想の商品には価値を感じなくなり、コト発想ができない企業は死にゆく運命となるからだ。

顧客は家電に対して機能性を求めていたのが、デザインや意味性、癒しや驚きを求めだした。もっというと先進国全体の欲求が衣食住からエンタメや孤独の解消、暇つぶし、などそっちに価値が移行しているからだ。この大きく変わりつつある顧客価値の世界的なシフトに気づいていないし、ここを抑えていないことは企業として致命傷になる。

 

未だ旧態依然とした企画をやっている大企業メーカーはたくさん存在しており、このままだと死にゆくのは間違いない 

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 モノ発想というのは技術者や開発車の視点で、良い技術の商品が売れる、という考えであった。今まではこれでよかったのだ。

それは世の中全体の家電市場のマーケティング難易度が低く、マーケテイングを知らない技術者でも消費者のニーズが何と無くわかってしまったからだ。

技術者の考える良い商品と消費者のニーズが直結していたからだ。

 

しかし技術がコモディティ化し出すと、差別化が難しくなり、なんとか技術で差別化しようとすると顧客ニーズからずれてしまう。

それまで技術的な視点でしか差別化を考えたことなかった企業はどうしようもなくなってしまう。

 

 で今回は

 (1)そもそもなぜコト発想は消費者に刺さるのか?モノじゃダメなの?

  というメカニズムの部分が一つ。

  そして、コトといってもおそらく様々なコトがあり、コトはコトでも千差万別、

  従って 

 (2)どんなコトだったら消費者に刺さるのか?

  さらには企画を行う人なら間違いなく、

 (3)どのようなアプローチでコト発想は可能なのか?

 という方法論の確立は必要である。つまりは、上記三つの問いに対して

 答えを出すつもりで「モノ」と「コト」の違いを明確にする命題に

 向かわなければならない。

 

②ではコト発想って何なのかい?

ここで具体的な事例をあげたい

(1)GoPro

ゴープロ、これはカメラ、ビデオ業界の革命児と勝手に思っているが、このゴープロカメラは典型的なコト発想である。

GoProの特徴は撮影した画像や動画をすぐにSNSにアップできる点である。

つまり、

従来のカメラ:いかに美しい写真を撮影できるか

GoPro:撮影した画像を友人とシェアをして楽しむ

Goproのカメラはその提供価値の目的を友人とシェアを楽しむ、という従来のカメラ業界の方達にはなかった発想なのである。

ここでのポイントは、

・カメラを使う目的を新しい体験に繋げたこと

・そこに共感などの感情が含まれていること

であり、従来のメーカーたちが必死になって行なっていたコトは、美しい写真が撮れることであったが、一般人には見分けがつかないくらい技術が進化しすぎちゃったデジカメ市場においてその発想はもうコモディティ化していたわけですよ。はい。

 

(2)バリュミューダ トースター

これも最近爆売れした商品で社長本人が、トースターは美味しいパンを家族と食べる体験を売ってる、というようなことを言っていた気がする。また良い体験は5感を刺激するのだと。

・従来のトースター:美味しいパンを焼く

・バリュミューダ:美味しいパンを家族で食べて幸せな団欒を作る。

         また、そこに到達するまでにワクワク感の設計も秀逸。

(例えばあえて中が見える窓を小さくして覗き込まないとパンの焼き加減がわからないようにしたワクワク感の設計など)

 

 

 

 

 

で、Goproにしろトースターにしろ、顧客目線をしっかり持ち込みつつ、

あることを行なっている。それは時間軸を引き伸ばしているのだ。

 

 

「コト」はお客さんがその商品を使う前後にもしっかり焦点を当てており、

商品を使う前のワクワク感の創出や、使った後の感情の共有や達成感を刺激している。

 

 モノ発想は時間軸が狭く、その商品を使う瞬間のことしか考えていない企画。

 

これが一つ。

 

 

もう一つ別の方向から取り上げるなら、コト発想とは、その会社の理念がユーザーに伝わり、それが価値となっているケースである。

例えば「このドッグフードの売り上げの一部は世の中で病気になっている犬達を助けるための補助金として使わせてもらいます」

これはその企業の理念自体に人が共感するコトであり、これもある意味コト発想なのである。また、アップルの「think different」これはアップルの哲学であり、言葉じゃ説明できないなんともいえない感覚である。

 

以上より、コト発想とは、

・ユーザーの体験価値の時間軸を引き伸ばした発想

・自分たちの理念や想いが伝わり価値となる発想

の二つを意味すると思う。

 

 

 

③どんなコトなら消費者に刺さるのか?

先ほどの事例を踏まえて何個か挙げるとしたら

・共感、一緒に楽しくなる、驚く、など心が動く

・一人よりも二人以上が絡む機会で

・できれば今までにあまりスポットを当てられなかった体験

 

というコトなら消費者に刺さりそうですな。

 

④どのようなアプローチでコト発想は可能か?

これはお客さん目線で企画をしましょう、というクソつまらん結果になりそうだ。だって世の中にたくさん企画の方法論が書かれた書籍が転がっているから今更である。

よくいうのは、「お客さんは欲しいものは分かっていないから、自分の経験から発想するのが良い」というのは確かに一理ある。でも人間そんなたくさん経験できるわけではないから、何かしらの方法論が欲しいところだ。

となると、自分自身が体験しまくるのが近道かもしれない。

例えば自分の担当商品を使って、友達と一緒にアクティビティに参加したり、イベントに参加してその商品を使ってみたりする。

するとその商品を使った時の体験ができるから、それを起点に発想するのはアリだろう。

他には、観察。日常の違和感をどれだけアイディアに昇華できるかが鍵。

井深さんもアメリカで外にラジカセを持ち運んでる若者の姿を見て、ウォークマンを着想したらしい。

これは違和感力、という力・スキルである。

この違和感力は常人なら見逃すものに気づく力が肝心である。

これはもう心がけしかないであろう。とにかく違和感を見つけてやる、という心意気満々で常に何かを見る癖づけができたら間違いなく企画スキルは伸びるはずだ。

 その方法は下記記事に書きましたね

 

 

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taitaitai.hatenadiary.jp

 

 ⑤結論

タイトルに戻るが、そもそも何故コト発想が必要なのかというのは、人類の欲求の地殻変動が起きているからであり、ここを抑えておかないと人々の欲求を刺激できない商品ばかり生み出してしまう。

その大切な背景を抑えてみなさんコト発想しましょう、ではでは