【書評】未来に先回りする思考法
おはようございます。
今日は大切なことを語りたいと思います。
まず、今回のThink Weekで読んだ本の中で最も価値が高かったと感じた本
「未来に先回りする思考法」について、
この本のポイントと自分の考えを伝えたいと思います。
なぜこの本の価値が高いと感じたのか?
それは、これまで一部の優れた起業家やイノベーター達のある意味
「特殊能力」であった、
未来を読む力
を具体的に明文化していたからです。
メタップスの佐藤さんは先見の明がある方だと思いますが、
彼の思考プロセスを僕ら一般人が覗くことができる
非常に価値ある本だと思いました。
勿論、彼の思考法を理解するだけでなく、
実際に使い倒さなければ自分の武器にはならないので、
そこは肝に命じて置く必要があります。
それでは、そもそも論のところから手法まで記載したいと思います。
1.なぜ未来に先回りをする必要があるのか?
理由は簡単。
ビジネスで成功するためです。
しかし今日の圧倒的に変化の早い時代においては、
未来に先回りをしないと成功できない時代
に変わりつつあります。
一時期はリーンスタートアップの手法の流行りましたが、
リーンモデルも複数の企業が同時並行で行なってしまえば、結果的にすぐ
過当競争に陥る。
したがって、未来の先回りはある意味成功のための必要条件に変わりつつあると言うことです。
ちなみに成功の定義は色々あると思いますが、僕の中で「成功」とは、
「とあるマーケットで確固たる地位を築くこと」
だと思います。
例えば
アパレル→ユニクロ
情報ビジネス→ソフトバンク
テーマパーク→ディズニーランド
就職関連→リクルート
などのように、その業界を思い浮かべれば、その企業名が浮かぶ。
で、確固たる地位を築くためには、独占的に市場を制することが必要です。
ジャックウェルチのNo.1 2 戦略にも見られるように、やはり業界のシェアを牛耳れること、これはコスト競争力も付きますし、ブランドイメージも高まりますし、開発リソースも割けられますし、いいことづくしですね。
しかし、多くの企業はそれができず、目の前の情報だけに振り回され、意思決定を見誤ってしまいます。
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人間 は 目 の 前 で 起き て いる 現状 だけを 見 て い ます。 それ ゆえ、 短期 的 な 視点 で、 現在 の 業績 が 小さい と いっ ては 買収 を 否定 し、 ライフスタイル に 合わ ない などと 理由 を つけ ては 新しい 技術 や メディア、 プロダクト を 否定 する 一方、 まだ 技術的 に 普及 する 段階 に いたっ て い ない テクノロジー に 過剰 な 期待 を 寄せ たり し ます。
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そう、僕たちは会社の意思決定を間違わないためにも未来を先読みする必要があります。
2.未来の先回りの定義
では、未来の先回りをするとは一体何なのか?
まず未来とは一体いつ頃なのか?
何の未来なのか?
先回りとはなんなのか?
色々疑問が浮かびますが、下記のように定義できるかと思います。
〜未来〜
ある業界の数年後の特定のテクノロジーの普及の状態、もしくはユーザーのライフスタイル
〜先回り〜
その未来がいつ実現するのか?を見越して、リソースの準備をすること
佐藤さん曰く、未来の方向性を読むことは大前提でできる。
しかし、何が難しいかというと、それがいつ本格的に社会に普及するのか?
そしてそのテクノロジーの普及ポイントをめがけて、半歩先に、商品やサービスを投入すること
ここが重要である、と言っております。
これは、世の中の変化はテクノロジーの普及により引き起こされる、という考えが前提にある。(これは間違いない事実)
そしてつまりテクノロジーのキャズムを超えるポイント
を読むことと同義であるわけですね。
そのキャズムを先読みするための手法が次になります。
3.先回りする思考法
ではどうしたらそんな思考ができるのか?
となりますが、以下三つのプロセスに収斂されます。
①未来の状態を予測する
②いつ頃それが本格的になるか?を予測する
③それに対して自分たちはどうアクションするか?
(どの立ち位置にいるか?)を考える
まず①の未来の予測に関しては、佐藤さんはこう言っている
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世の中 の 変化 には 一定 の パターン が 存在 し ます。 一見 ランダム に 動い て いる よう な 市場 の 変化 も、 一定 の 進化 の メカニズム に 則っ て い ます。 その 意味 において、 現在 は 過去 の 焼き増し で ある こと が 多い の です。
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そう、未来は過去のパターンの延長線上にあるのだ。
つまり、この今の現在地が過去のパターンのどのような状態に位置しているのかを発見すると、過去のパターンから未来が見えてくると言う。
そのためには、
(a)過去から現在までを歴史に線で捉えること
(b)なぜそのサービスが生まれたかを社会の必要性と関連づけて、原理原則として理解すること
が重要と言っておる。
(a)はわかるが、なぜ(b)が大切なのか?
と思った人も多いだろう。
本書では佐藤さんはこう語る
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世の中 の 製品・仕組み・サービス などは すべて 何かしら の 必要 性 に 迫ら れ て 誕生 し て い ます。 しかし、 時間 が 経つ と その 時代 に 最も 効率的 だ と 思わ れ た 選択肢 も、 実態 の 合わ ない 時代遅れ な もの になり ます。 それでも、 惰性 で 物事 を 進め て しまう のが 人間 です。 新しい 選択 を し、 ゼロ から 学習 する のは 誰 だって 面倒 なの です。
[中略]
手段 が 目的 化 する こと を 防ぐ ため には、 今 やっ て いる 活動 が どんな 課題 を 解決 する ため に 誕生 し た のか、 常に その 原理 を 意識 し て おく 必要 が あり ます。 もし、 その 課題 を 解決 する ため に もっと 効率的 な 方法 が すでに 存在 する ので あれ ば、 今 の 活動 を 続ける 意味 は あり ませ ん。
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つまり
そのサービスが生まれた原理原則を理解しておかないと、
そのサービスが生まれた社会背景が変化した時に、最適なソリューションが何か?をそもそも考えることができない
と言っているのである。
つまり惰性で物事を進めてしまうということである。
これはまさに現代でいうと、例えば、
大企業のピラミッド型組織が限界を迎えていると感じているが、これも原理原則を読み解くと、理由がわかる。
また、原理原則の観点では、
そのサービスが生まれた背景を人類の進化学と結びつけて考えることで、
そのサービスが生まれたニーズが本質的かどうかを判断できる。
もし、本質的なニーズであれば、強固な固定客をつかむことができるのだと思う。
さらにここから②のテクノロジーの普及がいつなのか?を
見極めるために、
過去の類似例を発見する必要があります。
そして、これが個人的にも最も難しい部分である。
当時のアンドロイド向けにサービスの全面展開を決断した佐藤さんの考えは以下であった。
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Android が iPhone に対して 採っ た 戦略 も この Microsoft と ほぼ 同じ です。 2008 年 当時 は スマート フォン と いえ ば ほぼ iPhone という 状況 でし た ので、 サムスン を はじめ と し た 端末 メーカー が なんと かし て Apple に 追いつき たい と 考え て い まし た。 これ も、 多く の PC メーカー が Apple に 対抗 しよ う と し て い た 当時 の 状況 と 重なり ます。 また、 各 スマホメーカー も、 Apple の よう に 全 プロセス を 自社 で やる ほどの 体力 も ノウハウ も 時間 も 持っ て い ませ ん。
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つまり、
・20年以上も過去の当時のマイクロソフトの戦略や競争環境
・現在の市場環境
比較し、同様のパターン性を発見したというわけである。
これをするためには、
外部環境の分析力やその記憶力、さらには、それを同様のパターン性を発見する力など、かなりビジネススキルが問われる。
さらにそれを自分の血肉にするためには、原理原則から深く理解しておかないとダメということであろう。
ここは普段のトレーニングが重要ということだろう。
③においては、
そのタイミングで準備をするために、自分の人脈や資金をフル活用して、
必要なリソースを揃えておく必要がある。
そして、最後の意思決定の段階において重要なことは、
必ず自分の判断は誤っている可能性がある、
という前提のもと意思決定をする必要があるということである。
なぜなら、人が集められる情報には限界があるからである。
なので、未来に先回りするためには、この矛盾を理解しつつ、動きながら、随時新しい情報を入手し、
アップデートして進めて行くことが必要であるのだ。
4、最後に
まとめると、
・情報のインプットを原理原則から理解して落とし込む
・現在の状況を過去の類似例を発見し、未来予測を立てる
・その未来のタイミングに向けて、成功率は五分五分でいいから、実行する
ことだと個人的には理解した。
今までブラックボックスであった未来の先読みをする方法を非常に
明確にまとめてくれた良書であったと感じた。
最後に、本書で印象的だった部分を二点列挙する。
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何 か 目標 を 立てる とき、 人間 は その 時点 での 自分 の 能力 や 知識 を 判断 材料 に し て、 自分 が どこ まで 到達 でき そう かを 試算 し ます。「 ああ、 あそこ まで なら いけ そう だ な」 と。 ただ、 取り組ん で いる うち に その 人 の 知識 だっ たり 能力 だっ たり、 様々 な パラメータ( 変数) は アップデート さ れ て いき ます。 やる 前 には わから なかっ た こと が わかり、 新しい 知識 を 学び、 頭 を ひねっ て 工夫 し て いる うち に 新しい 能力 が 身 に つい たり し ます。 結果 として、 自分 が 当初 考え て い た こと よりも 多く の こと が できる よう に なっ て い た、 という のは よく ある こと です。 逆 に いえ ば、 現在 の 認識 で でき そう に 見える こと は、 将来 の 自分 にとって は 楽勝 で できる 可能性 が 高い の です。 今 でき そう に 思える こと を し 続ける こと は、 大きな 機会損失 とも いえ ます。 もっと 高い 目標 を 設定 し て いれ ば、 もっと 遠く まで 行け た の です から。
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これから の 時代 を 生き残る ため には、 変化 の 風向き を 読み、 先回り する 感覚 が 常に 必要 です。 そして、 その 方法 は 検索 し ても 出 て き ませ ん。 変化 を 察知 し、 誰 よりも 早く 新しい 世の中 の パターン を 認識 し て、 現実 への 最適化 を 繰り返し ましょ う。 その ため に 必要 なのは 行動 する こと、 行動 を通して 現実 を 理解 する こと だけ です。
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僕たちの可能性は無限大であり、自分の成長を想定すると、あらゆることにチャレンジングできる勇気をくれる文面である。
我々のこれからの働き方に重要な示唆をくれる本であった。