日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

よい商品の作り方

ものあふれの時代といわれ久しくなり、企業はものが売れずに困っている。

一方、このご時世にも限らずヒット商品を生み出し続ける企業も存在する。

 

 

今日はこの新たな時代における新たな価値観をつかむ勘所についてまとめたい。

 

 

今の時代はインターネットビッグバン(適当)とデジタル化が進み、企業はこれまでの価値観を破壊されそうになっているが認めたくない、みたいな状態になっていると思う。

 

実際、これまでのコトラーさんのようなベーシックなマーケティングスキルを駆使するだけでは正直いいものは作れない。

 

なぜか?

お客はもう満足しきっているんだよ!

こんだけ豊かになって何を求める。

 

ちょっとした不満があらわになった顕在ニーズなんて正直価値がないんじゃ~~~!

 

 

ではどうしたらよいのか、というと「個人的な感覚」を大切にすることが打破する一つの重要なポイントだと思う。

自分は何が欲しいか、ということを突き詰めて考えることは、その人固有の価値観やアイディアが生まれる。

 

 

そして自分が本当に欲しいと思える商品を突き詰めて考えることができたなら、それを欲しいと思う人は世界のどこかに必ずいると思うのだ。

少なくとも一か国に10人はいるだろう。

 

今はインターネットが世界のどの地域にも伝え、運ぶことを可能としてくれたので、それだけで1000人くらいに売れる商品はあっという間にできるのかな、と思ってしまう。

つまり個人的な感覚を重視して作る商品はグローバルニッチとなっても、それは世界で売れちゃうこともある。

 

 

僕は個人的なちょっとひねくれたような気持ちや想いを込めた商品は、人のニーズを掘り起こすヒット商品を作るために最短ルートであると思う。

 

 

 

では、その個人的な感覚を重視することはなぜ良いのか、今日はその話をしたい。

理由は三つある。

 

  1. ストーリーがある

個人的に欲しい商品を考える場合は、その人の原体験が大きく影響している場合がある。子供のころにあんな思い出があった、昔はこんな嫌な体験をした。子供のころ見たあの景色を思い出したい。

 

 

 これらはすべて商品の背後に流れる強烈なストーリーとなる。

 強烈なストーリーであればあるほどそれは人の心の闇の部分であり、悩みは大きい可能性がある。悩みが大きいということは、それだけ深いマーケットが存在するということである。

 

 僕が子供のころに思い出すのは中学校の頃、真冬の塾通いがつらかったことである。自転車で冬の夜道を走るのだが風が強く肌は痛かった。

さらに田舎道であったため夜の街灯はなく、真っ暗な夜道をひたすら自転車で疾走する。

 やっとの思いで家のガレージにつくと、そこにはガレージに取り付けられたスポットライトの照明器具が、僕を感知してあたたかな光で迎えてくれる。

お帰り、と。

 

 その灯がぱっと照らされた瞬間に僕はいつも安堵した気持ちになった。

 

 

 

 

 このような原体験をもつ僕が、もしこの壁に取り付けられたスポットライトの照明を企画することになったら、もしくはこの自転車を、このガレージを、この玄関を。

 そのときは、子供が家に帰った瞬間にホッとするための仕掛けを必死で考えるだろう。どうしたらホッとするのか、なぜ夜道は不安なのか。

 おそらくこれらを深堀していったら僕が欲しいオリジナルあふれる商品が生まれるはずである。

 

 そして、プロモーションではこのストーリーを伝えるために工夫を凝らし、仕掛け行う。

 塾通いの子供を持つ親御さんに向けて、もしくは本人に向けてかもしれない。

 

 強力なストーリーは、既存商品と差別化する強いポイントとなるのである。

 

2.五感で感じる体験とつながる

 

バリュミューダという新興メーカーがあるが、ここが最近出したトースターがマジでうまいパンを作れるらしい。焼き加減、味、におい、全てが絶妙だそうだ。

社長であり企画者である人のコメントが「自分はパンが子供のころ好きだったので、うまいパンが作れる商品を作ろうと思った」といっている。

何気ない原体験であるが、これもまさに自分の個人的な想いを馳せた商品であることは間違いない。

 自分の個人的な感覚を突き詰めることは、自分の子供のころの原体験とつながっているケースがあるが、なぜそんなくそ昔のことを掘り起こしてきたのかというと、

それは当時の感覚を五感で感じたからである。

 

 それを起点とすることは、即ち五感に訴えかけるものとなる可能性が高く、それらを刺激する商品が出来上がる。

 

 何やら結果論だけ書いているように見えるが(まさにそうなのだが、そしてもちろんそれを実現するための粘る力も重要であるが)

 

 最近では体験型や参加型などのアトラクションやアミューズメントをよく聞くが、これも見たり聞いたり動いたり触ったりすることを売り文句としており、実際非常に人気である。

 五感で感じることは強い。

 

3.共有したくなる  

それってよくあるよね。そんな言葉が出た企画は必ずうまくいくともいわれている。

 

あるある体験はその人の経験でよくある悩ましいことであるのだが、個人的なおもいをベースとして作った商品は、人の琴線、この場合で言う「あるある」に引っかかりやすい可能性がある。

 

引っかかったらこっちのもの、口コミによりスピーディーに広がっていく。

 

 

 以上3点の理由で個人的な想いで商品を作ることが重要かと述べてきた。まあ結論は、

自分の想いを持ち、そのomoiを実現することが大切ってことですな。