語り力について
世の中には多数のなんたら力が溢れており、それらの能力を身に着けるための多くの書物が出版されている。
論理的思考力、プレゼン力、宴会力、女子力、コミュ力、雑談力等々、数え上げたら枚挙に暇がない。
が、意外と世間に浸透していないのが、冒頭にあげた「語り力」である。
この語り力、一体何ぞや?というと
「あ、この人何かすげーな」
と思わせる能力である。
雑な説明だが、もう少し具体的に言うと、
自分の経験や想い、信念を長々と語るが、その話が面白く、その人の人間性が伝わり、聞いてる側はもっといろいろ学びてー
と勝手に思わせ続ける能力である。これは書店に行っても売られていないジャンルであり、「TED驚異のプレゼン力」ともまた違うものである。
自分の欲しい能力の一つとして
語り力
は上位に君臨しており、
今後のビジネスマンにも必要ちゃうんか!?
と勝手に思っている。
別に相手に対して、この人すごいな、と思わせることはどうでもよいのだが、この能力がある人は、ビジネスマンとして優秀な人であり、かつ、優秀な人はこの語り力を身に着けているケースが往々にして多いと感じる。
また、いろいろな人と話をする機会が多い人は、この語り力があることで自分の魅力は相手に伝わり、関係も広がりやすい。
今日も尊敬する経営者二名に会ってきたが、彼らの口から出る話は面白く、また、飽きない。そしてその話を聞く自分ももっとこの人から学びたい、と自然に思うようになる。
で、ちょっとこの人たちの話がなぜ面白いかを分析していたが、下のような特徴があると思った。
①話がバウンドする
②個々のオリジナルな経験を挟む
③たとえ話がある
④いろいろ話を織り交ぜてといて、最後の結論は収束する。シンプル。
①話のバウンド
これは、よく自分も所感をいうときに使うのだが、一見全く別の話を振っておいて、そこの糸口から本題に入るというテクニックだと勝手に自分で定義している。語り力がある人達はこのテクニックを駆使し、語り中に自分の話から新しい話に話題転換し、様々な一見無関係の話を始める。まるで、暴走した線香花火のように、その話題は細切れで、すぐに消えたりついたりするが、最後には、線香花火の消える直前のように、うまいこと話が収束するのである。これは、おそらく自分で話をしながら、それが頭の記憶を刺激し、その話題が更に頭の片隅の記憶を刺激していく、という連鎖が起きているのだと思う。
②個々のオリジナルの経験
個々のオリジナルの経験は事実ベースで話すだけでなく、そのとき感じた気持ち、感情を生き生きと表現するところがポイントである。
③たとえ話
あ~なるほどね、というような例えがうまく、また幼稚園児でもわかっちゃう比喩をさらっと使う。。
ノルウェイの森みたいに、世界中の虎が融けてしまってバターになってしまうくらい好きだ、みたいな表現とはまた違う。(ノルウェイの森は好きだよ、特に永沢さんが)
④結局収束
たぶん自分の生き方が様々な経験を通じて、一つの方向として見えているから、結局再度うまいことまとまるのだと思う。Have a goal!
この語り力は、非常にあいまいで定性的な能力なので、今まで人間力やコミュ力、プレゼン力みたいな力と一括りにして考えられてきた。
が、今後はこの能力は次第に注目されるであろうと感じている。
その理由は、これからの時代は、ものあふれの時代であり、商品機能重視の時代から、商品の持つ意味、それはデザインや商品が持つストーリーの時代へと変わるからである。そして、このストーリーを商品に入れ込む力は、この語り力が必要となってくるからである。
語り力は言い換えれば、自分のストーリーを相手にわかりやすく伝える力でもある。