日々の思考の積み重ね

家電メーカー企画マンの独り言ブログ

新商品でヒットを生み出すためには怠惰な現代人の特性を抑えておけ

イノベーションとは市場の創造であるが、ある程度市場を創造した、と言えるためにはキャズムを超える必要がある。

キャズムはアーリーマジョリティ層に到達する狭間であるが、

狭間を越えるためには、

「適度に想像を裏切りながらも適度な理解をされるサービス」である必要がある。

 

何故ならぶっ飛んだサービスは一般人には理解されないからだ。

しかし、一般人に馴染みの深いものでありすぎても、彼らは面白みを感じてくれない。

だから、

・想定の裏切り具合

・理解しやすさ

という二つの変数を調整して、これらの掛け算が極大となるようにサービス設計をしなければならない。

 

 

しかし厄介なのは現代のマジョリティ層の感情に地殻変動が起こっているからである。

たとえば以下はわかりやすい例である

 

①一億総堕落社会

あらゆるサービスがスマホで完結して、めちゃめちゃみんな面倒くさがりになってきている。だから、取引コストが低いサービスであることは必須である。

 

②口コミ社会

情報が多すぎて、信頼できる人からの口コミが重要になってきている。

 

③生きがい社会

選択肢が多すぎて、人生に新たな解釈を求めている

 

今日、大切なことを伝えたいのだが、特に①についてである。

 というのも、はじめ論じた

「想定の裏切り具合」を追求すると、何かを従来品と比べて変化させる必要がある。

たとえば、提供価値、なのかデザインなのか、ストーリーなのか、わからないが、

ことハードウェア商品では奇抜さを狙いすぎると取引コストが上がってしまう傾向がある。取引コストはその商品を扱う上でのかかる時間である。

 

たとえば、セグウェイなんかがわかりやすい。歩くという動作に対して、すぐ起動できるのは良いが、たとえば階段は歩くほうが断然早い。

一方ITサービスは奇抜さを狙いすぎてもそんなに取引コストは上がらないのでチャレンジしやすい。

tikitokみたいなサービスをガンガン打ち出していっても、競合は暇つぶしの時間であるし、そもそもスマホUIなのでそんなに時間はかからない。

 

したがって、ハード系のサービスで気をつけなければならないことは

「奇抜さを狙いすぎないことである。」

この微妙な加減を企画マンとして覚えておきたいところである。

逆に取引コストが上がらないのであれば、奇抜さを狙っていっても問題ない。

 

わしがもしLINEの社長ならどうする?

さて、本日はLINEです。

現在利用者数は世界で2億人。

日本でも最大のコミュニケーションサービスを展開してます。

 

LINEの最近の動きとしては事業の多角化によるLTVの向上が見受けられます。

ザーッと並べただけでもこの数年でかなりのサービスの数が増えてますね。

 

コミュニケーション軸

 ・メッセージ

 ・ゲーム

 ・漫画

 ・ニュース

 

コマース軸

 ・ショッピング

 ・デリま

 ・ラインフレンズ

 

金融業

 ・ラインペイ

 ・ラインバンク

 ・ライン家計簿

 ・ライン投資

 

そのほか

 ・ライン旅行

 ・AI スピーカー

 

という状態ですが、今日は個人的にラインの課題と対策を考えてみました。

 

1、ラインの課題は?

 順風満帆に見えるラインですが、いくつか課題があると思います

 ①海外シェアの向上

 ② クーポンやポイント以外の誘引サービスの構築

 ③シナジー効果の向上

 

①については海外でのシェア向上が必要ですが、日本はほぼ飽和状態。

インドネシアは低下傾向ですので、何かテコ入れが必要です。

まあここはまた別機会にでも論じたいと思います。

 

本日は②について話したいです。

ラインのサービスモデルは基本的にマッチングです。人と人、人とお店、人と会社、その中でもラインの稼ぎ頭であるLINE@などはお店とお客さんをラインでつなぐサービスです。

ただ、LINE@は何やってるかっていうと、単純にラインからクーポン出してるだけです。

カンフル剤的な意味はありますが、正直持続的なビジネスではないでしょう。

というのホットペッパーも元々はクーポンサービスビジネスでしたが、今は予約サービスやソリューションビジネスとして変化したことで生きながらえています。

 

経済合理性だけを価値に進めるラインの施策はいずれお客さんから飽きられます。なので新しい展開が必要です。

 

2、対策

ではどんな価値を提供していくかですが、抽象的なワードで説明するとするなら

「カスタマーサクセス」です笑

どうやって店舗の課題を解決していくか、経済合理性以外の価値を狙っていくなら

一つは内部コミュニケーションの向上です。

これは従業員や店長、もしくは本社スタッフ達とのコミュニケーションの向上による従業員満足度の向上を目指します。

具体的には、

ラインを通じた従業員のスケジュール管理、給与支払いはさる事ながら、

満足度調査や働き方アンケート実施などを行います。

これらを通じてスタッフ達がどうやったらよりお客様満足度を高めるコミュニケーションが取れるか、また働きやすい環境を作れるかをサポートします。

 

さらに次の展開としてはお客様と従業員スタッフとのコミュニケーションのきっかけを作ります。

具体的にはラインのスタンプサービスのように簡易にお客様がお店に対する意見や不満を伝えることができるデバイスを開発します。

イメージはHappy ot notみたいなものです。

 

HappyOrNot®(ハッピーオアノット)顧客満足度向上ソリューション

 

 

これらの結果をスタッフごとや店舗ごとに集計し、

従業員のモチベーションアップにすることや、店舗ごとのサービス改善に活用することも可能です。

 

やはりラインといえばコミュニケーションを滑らかにすることであり、

次はオフラインのコミュニケーションをいかに活性化できるか、そこに焦点を当てたサービスを展開していくことがラインの新たな価値であり、リアル店舗のあるべき姿に最も貢献できることだと思うのですよね。

以上。

 

 

 

 

 

 

 

「東京女性図鑑」を面白くしている真実  ネットドラマ特有のUI設計

いやー久しぶりに面白かったドラマを発見しました。

ネットドラマ「東京女性図鑑」です。

アマゾンプライム会員限定ですが、バチェラーに継ぐ名作でしたね。ストーリーとしては東京タラレバ娘みたいな感じで、自分の幸せを見つけようと頑張るが、東京という街に翻弄され続けるある女性の成長物語です。

 

このドラマは普通のドラマ仕立てなんですが、最大の特徴は随所随所で主人公や登場人物達が心の声を語る、というシーンが入るんです。

妥協して結婚したアラサー女、客をなじる高級呉服店の女性スタッフ、タワーマンションヒエラルキーに辟易する奥様の声、

彼女達が語るその心の声が妙にリアルで、人間の本音や心の汚い部分、理想と現実に挟まれて妥協する切なさなど、をいい感じに表現してくれてます。

 

日常に潜む女性たちの声を描き、切り取ることこそが、このドラマのタイトルにもなっている通り、「東京女性図鑑」なわけです。

 

このドラマを面白くしているのは脚本は勿論なんですが、

ネットドラマ特有のある工夫が施されていると感じました。それを述べます。

 

1、そもそも面白いドラマとは?

まず僕が思う面白いドラマの定義を述べます。

それは結果が予測できることです。

なぜかというと感情移入できるからです。

 

例えば僕の好きなドラマ「やまとなでしこ」では、貧乏人の欧介という魚屋の主人公が、恋心を抱く女性に勘違いしてカメレオンのおもちゃをあげてしまいます。

(その女性が欲しかったのはカメレオンというブランドの高級時計でした)

 

実際のドラマシーンでは、欧介がカメレオンのおもちゃが売っているお店を偶然発見してしまうのですが、見ている側は「まさかそれを買って桜子にあげちゃうの??!」と結果を予測してしまうのです。

そして本当にあげてしまって欧介は恥をかくのですが、この時の僕達の心のプロセスは

・結果を予測する

・結果が外れるor当たる

・感情が揺れ動く

となってます。

で、世間で言う「共感」ってのは感情の揺れ動きなわけですが、

その共感の正体は脳内で延々と「予測」と「当たりor外れ」の繰り返しをしているだけです。

そして面白いドラマは圧倒的に「思わず結果を予測させる」しかけがうまいです。これはドラマに限らず、映画でもプレゼンテーションでもそうなんですが、人間は正しい順番で情報を与えられると、勝手に脳が予想しだします。

例えば「バナナ」と「ゲロ」と言う言葉を唐突に与えられたら、

嫌な映像を人間は浮かべてしまいます。

スティーブ・ジョブズがプレゼンで「電話とipodとインターネットの融合だ」と言ったらそのデバイスを勝手に想像してしまいます。

 

 

プロの脚本家が描くドラマも同じで、登場人物の一見意味のないシグやさ、何の気なしに描く街の背景を時系列に提示することで、

その登場人物達の感情の輪郭を描き、それを視聴者に予測させたり、想像力をかきたてたりしてくれます。

 

 

 

逆に面白くないドラマではよく「感情移入できない」や「主人公の行動が全然理解できない」など言われますが、これは視聴者が結果を予測してくれていません。

例えば主人公の行動に一貫性がなかったり、発言と行動が伴ってない輩がいたりすると脳が混乱しますよね。新垣結衣がこの前出てた「獣になれない私たち」はまさにこれでした。

 

 

 

 

2、東京女性図鑑の場合

東京女性図鑑の場合、勿論ドラマ内でもそういう設計はされていたのですが、

僕はドラマ外の部分にその巧みな設計を感じました。

それは再生ページです。

東京女性図鑑をアマゾンで見る場合は、再生する前にその話のタイトルが見えちゃいます。なぜなら再生ボタンの横にタイトルが書いてあるからです。

東京女性図鑑ではタイトルの付け方が秀逸で、タイトルを見ただけでその話の結果を何となく予測できます。

例えば第7話のタイトルは「ブルータス、お前もか」でしたが、

このタイトルの時点で

「多分彼氏に裏切られちゃうのかな」と予測してしまいました。

 

またこのドラマでは数話ごとに「〜編」となっており、主人公が住む場所に合わせて

茶屋町編、恵比寿編、銀座編、、、となっています。

例えば僕は「豊洲編」を再生する前に、そのタイトルから

「港区ということはタワーマンションに住んだのか!?てことは結婚したの?」

と予測してしまいました。

 

つまりこのドラマでは視聴者が再生する前に感情移入のハシゴをつけて待ち構えてます。多分ネットドラマのKPIって視聴数よりも視聴時間の方が大事なんかと思います。本当の意味で楽しんでるのは離脱率の低いドラマかどうかであり、Amazonはそのあたりの設計を本当に真剣に、そして巧みにやっているなと思いました。

 

3、このドラマが伝えたかったこと

もちろん上記のはあくまで視聴者の満足をあげる一手段であり、このドラマのコンセプトや視聴者に伝えたい強いメッセージがあり、そのゴールがブレない展開だったからなのは間違いありません。

 

このドラマが伝えたかったことは何か自分なりに、考えていましたが、多分

「自分を信じる」

なのかなと思いました。

 

ただでさえ現代の選択肢が多い時代に、自分と他人を比較し少しでも人より大きい幸せを願います。

主人公の「綾」もそうでした。

綾が40歳前になり、東京の生活に疲れ、地元の秋田に帰った時、偶然高校の頃の先生に会います。

その先生は綾が東京で仕事で活躍していた時に取材された雑誌記事を嬉しく持ち歩いてました。

その当時の記事を綾に見せるのですが、綾はその記事を見て泣き崩れます。

それは自分が最も活躍していた時であり、

取材記事には「自分の決断を信じることができる」という当時の自分のコメントが掲載されていました。

でも今の綾は離婚し、仕事にも疲れ果て、自分が進んできた道が正しかったのか、自分の選択を信じてきてよかったのか、不安で泣き崩れたのではないか。

 

自分を信じる、という今最も難しい人々の命題を

このドラマの綾という一人の女性が東京に翻弄されながらも

最後はたくましく生きる姿勢を描くことで、僕たちの人生にも解釈を見出すような手助けをしてくれます。

ドラマを一気見した僕は、久々に誰かに見て欲しいドラマだなと思いました。

おすすめです。

 

 

ちなみにこのブログのタイトルでも

何となくこの記事の内容を予測できるようにして見ました。それではまた

 

 

もしわしが日本マクドナルドのCEOならどうする?

タイトルの件、今回は短めにサクッと書きます。

 

1、現状分析

日本マクドナルドは、食品問題を起こし、2008年をピークに売上が低下、

2015年にはピーク時の半分まで売上が下がりしました。

それに伴い赤字にもなり、現在は原田さんに変わり新たなCEOが入り再建を進めてます。

直近では店舗の売り上げも上がり、一時の売り上げには全く届きませんが回復傾向であります。

大きくは以下です。

・直営店比率比率を下げることで収益性を改善

・うまさと安さを両立したコアバリュー商品を拡充する

・QMSを高める

・デジタル化を進め、合理化と顧客の購入機会の間口を広げる

 

 

2、マックの脅威

マクドナルドは今後以下の脅威がくると思います。

少子高齢化の波

②健康志向の波

まあ色々とマクドナルドは既にデジタル化や新メニュー開発をやっているので、

今のマクドナルドが取り組んでいない視点で論じたいと思います。

 

3、課題と打ち手

さて、今後マクドナルドのターゲット層がシュリンクして行く中、

 

マクドナルドのハンバーガーという脂っこい商品のコンセプトをずらさず、

どうやって今後顧客間口を広げて行くかが課題かと思います。

では高齢者をターゲットにしろというのは無理かと、なぜならハンバーガー自体のコアバリューを相当変えないと彼らの口に合うものはできないからです。

 

そこで狙うべきは、ファミリー層の中でも子連れお母さんです。

おそらくマクドナルドの中でもこの層は結構取りこぼしている可能性が高いです。

なぜなら彼女たちは、普段子育てで疲れており、たまにあるよそのお母さんたちと一緒に過ごす時間は、多少上質な空間や食事を得たいという心理だからです。

取るべき戦術はマクドナルドの広い店舗を生かした、新しい店舗空間と食事メニューの開発です。

まず、店舗空間のレイアウトを子供が遊べるスペースを備えたフリースペース型にしてしまいます。

テーブルや席も広めに取ることによって、顧客の回転率を下げる代わりに顧客単価をあげる店舗作りにして行きます。

マックカフェとは違いまして、完全なる子供がリラックスして過ごせる空間、その代わり入場料を取る仕組みにして、全体単価をあげます。

その代わり価格重視でやってくる高校生や若者たちを避けることが可能ですので店舗の雰囲気を保つことが可能です。

 

店の名前もマクドナルドforプレミアファミリー、のように新しい名前を打ち出してわかりやすいものにします。

直営店の多いマクドナルドだからこそ、実験的にこの店舗を都内で打ち出し、成功したら他の店舗にも拡大して行く、という施策が打ちやすいかと思います。

 

大企業でハードウェアのリーンスタートアップを行うために必要なこと

どうも明けましておめでとうございます。

現在、ハードウエアの新事業立ち上げ真っ盛りなので、

今自分が手探り状態で進めている「大企業での新事業立ち上げの話」をしたいと思います。

 

エリックリースのリーンスタートアップを読んでいて、毎回思うのが、

事例がITサービスばっかりやん!!ということです。

まず、ハードウェアの新事業においてあまりITサービスの事例は参考になりません。なぜかというとKPIが違うからです。

 

ITサービスは導入コストが非常に安い反面、ユーザーの離脱率が高いため、

いかにそのサービスが使い続けてもらうかというリピート率やDAU,MAUが大切になってきます。なのでとりあえず出して、お客さんに使ってもらいながら改善するという手法が使えるのですが、

一方ハードウェアは基本導入コストが高く、一回買ってもらえばそれなりに使ってもらえるため、なんだかんだいかに買ってもらうかが勝負です。

ただしサービスをぶち上げるための金型投資なんかも結構かかってしまったり、

一番難しいのはサービスのスケール性をできる限りやすく、お手軽に判断するのが難しいです。

なので、今の自分がやってるB to B向けのハードウェアサービスをベースに説明したいと思います。

 

1、アイディアを形にする段階

まずは本当にしょぼくても良いので、MVPを作るところからスタートします。

ハードウェアはパワポ資料では全く伝わりません。

まずは本当にしょぼくても良いので、何かしらの形にしてみることが重要です。

ここで「お金がない」という文句を言うのはやめましょう。

今は3Dプリンターが使えるコワーキングスペースなんて腐る程ありますし、ハード系の会社に務めている人なら社内のコネで形にしてくれる人を見つけたりとなんでもできます。

そして、このMVPを眺めながら大切なこと、それは

自分の心の声

を聞くことです。

不思議なことに感じます。めっちゃいい!

もっとこうしたい、つまらない、やる気なくなっちゃった。

 

ここは改善した方が良い、ここはこうした方が良い、など色々と感じるところがあるはずです。

その心の声を聞いたら再度プロダクトを自分なりに改善して、できる限り自分で納得できるものを作ってみます。

 

 

2、エクストリームユーザーの生の声を聞く

プロトタイプができたら、自分の商品を気に入ってくれるお客様を見つけるところが重要です。ここで社内の人間に聞いてはダメです。なぜなら新しいものであればあるほど、誰も良いとは言ってくれませんし、ダサいプロトを見て誰も良いとはいってくれないでしょう。

お客さんの声を聞きに行きましょう、その中で感度の高いお客さんは確実にいて、

その人は不完全でぎこちないプロトにも、その最終品の姿を脳に描き、

現実世界で使われている様子を頭の中で再現してくれて、いいじゃん、と言ってくれる人がどこかにいます。

ここでの目標は実証実験に協力してくれる企業を探すことです。

この企業を捕まえたと言う事実が大切です。

 

3、実証実験のスタート

さあ、ついにあなたのプロダクトを気に入ってくれ、実証実験に付き合ってくれる企業やお店が発見できました。ここでは社内を説得して、とにかく金を集めて実験に耐えられる試作機を作ってしまいましょう。

数百万レベルなら、偉いおっさんのポケットマニーでいけるかもしれません。

誰か強力な上位者の味方を引き込んでおく必要があります。

ここでできれば実験先からはお金を払ってもらって実験をしたいところですが、強気な態度は正直難しいと思いますので、まずは無料で良いかと思います。

 

4、マネタイズについて議論 

さて、無事実験が終わり、ある程度期待通りの成果も出ました。

この結果を受けて、実験をしてもらった企業にお金の話をする必要があります。

ズバリ、「いくら払ってなら継続的に使って見たいですか?と。」 

ここは逃げずにどストライクに突っ込んで行きましょう。

ある程度この時点では、事業計画を作っておき、どの金額なら事業が回るか、と言うことを裏でしっかり考えておく必要があります。

ここがひとつの分水嶺。ここで全くもって箸にも棒にもかからない価格を提案されたり、向こうがいらないと言う顔をしたら事業撤退のサインです。諦めましょう。

ただし向こうの回答した価格がある程度いけそうな価格なら、脈ありです。

 

5、スケール性についての議論 

大企業で間違いなく出てくるのが事業のスケール性です。

有力キーマンへのヒアリングや展示会の出展でさらにいろんなお客さんにヒアリングを聞きます。この声を集めてうまくスケール性を判断するベースの情報を集めて行きます。

 

ただしスケール性を判断するのは非常に難しいです。

なぜかと言うと、いくら言葉で集めてもお客さんが

・本当に買うかわからない。

からです。

これを打開する方法は二つあります。

一つは濱口秀志氏が提案するβ100という方法です。こちらはネットを調べたら書いているのですが、簡単にいうと、簡易な実販売所を作って、そこにお客さんを招いて、

買うか、買わないかを100人に聞くというものです。

その人数からシェアを割り出して、事業のスケール性を判断するというものです。

これはいいと思うのですが、実際に難しいのはお客さんを100人よんでくることです。

 

二つめは、地域を絞って商品販売を仕掛けることです。

例えば東京の渋谷区限定とか。

この地域限定でどの程度のシェアを達成できそうかを試算し、それを全国展開として試算したときに事業のスケール性を判断すべきかと思います。

 

とまあ自分の事業は今この事業のスケール性の判断段階ですので、ここまでしか自分が体感したことは語れません。

次は実際に商品発売をしてどうやって事業をスケールして行くか、もありますし、

初期ロットの販売台数や投資金額はどうしたか?なども難しい判断をしいられます。

またいずれ論じたいと思います。では。

 

 

【書評】レゴはなぜ世界で愛され続けているのか

久しぶりの書評である。

 

LEGO。レゴ。僕も子供の頃よくお世話になった。

レゴの懐かしい思い出といえば、自分で作ったレゴ作品を祖父に採点してもらっていたことだ。

救急車、飛行機、車、家、あらゆるものをレゴで作り祖父に見せるのだが、

祖父は意地悪でだいたい、60点〜70点くらいしかくれなかったが

祖父と離れる最後の日の作品は100点をくれた、という懐かしい思い出があった。

そんなレゴの近年の素晴らしい好業績の秘密を解き明かしたのが本書だ。

ビジネス本なのに、ストーリー仕立てでかなり面白く、久しぶりにビジネス書で引き込まれてしまった。

 

この本ではレゴの歴史から組織論、イノベーションの起こし方など、様々なことが述べられているが、なぜレゴがイノベーションを起こし続けられるかについて、僕が個人的に面白いと思った観点を述べたい。「レゴ 写真」の画像検索結果

 

 

1、アイディア創出について

ユニーク⑴ヒット商品は担当者の強い想いが起点

レゴでは2000年ごろから、従来のレゴの枠にとらわれない様々な商品を開発してきたが、ヒットした商品は担当者レベルの強い想いがスタートになっている。

スターウォーズコラボやレゴ型ボードーゲーム、組み立て型アクションフィギュアなど、これらはいずれも担当者の強い趣味や経験から思いついた発想であり、簡単には商品化はされていないが、商品化された折には爆発的ヒットをしている。オモチャ業界という特殊な市場でも変わらず、担当者の熱量はイノベーションを起こす必要条件であり、面白いことに内から外へのイノベーションスタイルである。

 

 

ユニーク(2)ミッションが創業以来変わっておらず、顧客への提供価値そのものである

レゴのミッションは創業当時から変わっていない。本書には以下の説明がある。

「私たちが目指したのは子供達にとって人生の準備になるおもちゃを作ることでした。子供達の想像力をかきたて、創造への意欲を引き出し、人間の生きる原動力になっている想像の喜びを育むおもちゃを提供したいと考えました」

子供の想像力を育む、というミッションが変わる必要がないのは、人間にとってそのミッションは時代が変わっても普遍的であるからだ。

レゴが強いのはこのミッションが顧客への提供価値としても色褪せないことである。

今の時代はミッションを定めること自体の難易度が高いが、企業ミッションとして変わらず定め続けていることこそが、レゴの強みであると感じる。

アマゾンのジェフベゾスも「10年後にも変わらない人間の本能を見定めることが重要」と言っているが、これから起業をする際にも、人間の変わらない本能を見定めて事業を起こすことが息の長いビジネスにつながると思う。

 

ユニーク(3)市場分析はアイディアの正しさを証明する補強材料として活用

レゴでは勿論市場分析を行うが、あくまでそれは企画の確度を高めるための手段として使っており、企画立案自体を市場分析から行ってはいない。

 

2、アイディアを精査する軸

結構面白かったのが、ここなのだが、レゴでは新しく出てきたアイディアを以下の判断軸でチェックしている。

 ⑴今までに見たことない

 ⑵間違いなくレゴ

 ⑶年間売上高200億を達成する可能性

 

 まずアイディア時点で(3)を判断軸に入れるのは通常のデザインシンキングと相反する。しかし、レゴはあえてこのポイントを入れているのである。これは200億以下の事業は行わない(収益が伴ない)という強い利益率へのこだわりを示しているということである。つまりレゴは新規事業創出の戦略目的をトップラインの向上という強い意思を持って取り組んでいるのだ。この辺りが「とにかく新しいことをやらねば!」という日本企業と一線を画するところである。

また、(2)の間違いなくレゴ、だがこのレゴの原則を社員全員が把握しておかなければこ成り立たない論点である。ちなみにレゴ初の組み立て型アクションフィギュアを発売した際にもこのレゴらしさの原則とは何かが議論に上がったが、その時には「組み立てることができる」ということであった。組み立てることができるということが子供の想像力を育むことに強く繋がっているということである。

つまり、ミッションが浸透しているからこそレゴらしさの軸が取れるのだ。

 

3、アイディアのブラッシュアップ方法

特におもちゃ業界という特殊な市場で、どのようにアジャイル開発を実現するのかと気になっていたが、レゴの場合、とにかく試作品を子供に触らせるようだ。

本書より

「開発チームは段階ごとに子供を集めて、開発中のおもちゃで遊ばせ、その様子をじっくり反応した。

どういうおもちゃが最も子供達の興味を惹きつけられるかを見極めるためだ。ここで子供たちから良い反応を得られないアイディアは次の段階には進めなかった。

(中略)

子供達の想像力を掻き立てられるかがどうかが、このテストでのポイントだった。例えばおもちゃを見せたとき、子供達が長時間飽きずに戦闘シーンを空想したり、話を作ったり、あるいはそのセットで遊んだりすれば見込みのあるおもちゃだと判断できた。

ここでもミッションが登場しているが、見極めポイントが子供の想像力を掻き立てられるかどうか、というのがシンプルにして非常に強力な仮説検証になるわけだ。

以前、任天堂のマリオ開発者の方が新作ゲームを作る際の検証をどうするかという質問に対して、

「とにかく子供に遊ばせてみる」と答えていたが、同じことである。

この方法を通じて、企画を研ぎ澄ましていくのだがレゴでは初めから使えるブロックの数やサイズ、色には制約があるらしい。これは勿論部品を共通化することで原価率を下げる目的があるのだが、この制約があることで、逆にデザイナーたちのクリエイティビティは高まるらしい。

 

以上だが、僕がこの本書で最も感銘を受けたのは、レゴ創業者の初代と2代目が何年もかけてレゴブロックを開発したストーリーであった。

当初のレゴブロックはうまくブロックのはめ込みができず、使い物にならなかったが、何年も凹凸の研究を重ねることで今の原型が出来上がった。

何気なく自分たちが遊んでいた外したりくっつけたりできるレゴの構造には長い研究の末、完成した人たちの強い根気があったからであり、「できる限り手軽に成果を求める」現代には失われている価値観である。

これほどまでに時代が流れても色褪せない価値を提供するレゴブロック。

子供に買ってあげたくなっちゃいますね。

 

レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理

 

黒澤明の生きるを見て、喉元過ぎれば熱さ忘れる人間の弱さと良さを痛感した

黒澤明監督の「生きる」を見た。

 

時代は変わっても、今の時代と問題は変わらないなと思う反面、

意外だったのは70年ほど前の日本でも同様に

「仕事にやりがいを感じられない」という心の声があったのか、ということであった。

 

 

この映画は1953年公開である。

しかし、この時代背景としては、戦後間もないし、

みんな生きてるだけで儲けもの、それこそ働くことに全ての人が生き爛々としている、

と思っている時代だと思っていただけにびっくりであった。 

 

生きるの主人公の職場が公務員だったということもあるのか?

この映画で、黒澤明監督は何を描きたかったのか、

もちろん、

人間死を意識したら素晴らしい力を発揮できる、

普段健康で生きていることに対してのありがたみを感じてほしい

 

という一面もあるかもしれない。

が、僕が思うに黒澤明がもっとも伝えたかったのは「人間は喉元過ぎれば熱さ忘れる」どうしようもない生き物であり、それはまぎれもない事実である、ということであるだろう。

戦争で死ぬような思いをしても、みんなしばらくしたらその辛さを忘れる。

震災もそう。

肉親の死もそう。

 

最後の主人公の葬式で、主人公の行動に感銘を受けた会社の人間が

「これから心を入れ替え頑張ろう!」

と誓うが、今まで通り仕事をたらい回しにする最後の結末、ワンシーンがそれを物語っているだろう。

 

この映画を作ろうと思った当時、黒澤監督の目には日本が平和ボケしているようにも感じたのではないか?だからある意味アンチテーゼとして、生きる、を作り、もう一度みんな戦争で亡くなった人たちのことを思い出せ、というメッセージが込められていると感じた。

 

 

人間はある意味、本当に都合のよく忘れられる生き物なのである。

それが人間の良さであると思う。

だから、同じ過ちを繰り返してしまうのだが。